高層ビル、そして風害…

ひばりヶ丘駅周辺ほか

 先月12日、晴れた日の午後3時過ぎ。風の強い日で、街路樹の枝が北西の風に揺れ続けていた。  ひばりヶ丘駅南口西友裏手。谷戸新道から通りに入ると、突然、突風に見舞われた。ひばりヶ丘駅前西友駐輪場では、激しい音を立て50台以上の自転車が将棋倒しに。風にあおられてよろける高齢者の姿もあった。上空に舞い上がったビニール袋を目で追うと、超高層ビルがそびえ立っていた……。

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自転車が将棋倒し

 高層建築物の影響で風が強まる、いわゆる「ビル風」に関係するとみられる被害が、このエリアでも増えている。同駐輪場の利用者の話では、同地区は西友など高層建築物があるためかもともと強風の影響を受けやすかったが、駅前に地上33階の超高層マンションが建った1年ほど前からは、突風が吹くようになったという。その因果関係は不明ながらも、買い物帰りの女性は憤る。

 「本当に風が強い日は、自転車が200台ぐらい倒れます。起こすだけで30分もかかって、何をしにきたのか分からないこともありました」

 風の被害といえば、この4月にも同市向台町の読者の投稿を本紙に掲載したばかり。同地区でも、約800世帯の巨大マンションの建設を境に、以前にはなかった強風が吹くようになっているという。

 なぜ、高層ビルの周辺で強風が吹くのか。東京都環境局環境都市づくり課によると、その仕組みはこうだ。風は建物に当たると壁面に沿って流れるが、角までくると、建物から剥がれ周囲の風よりも速度を速めて勢いよく吹き抜ける。また、上空の風は高度が高いほど速く、それが建物に当たると、四方八方に分かれて複雑な流れを示す。そのうちの下に分かれた風は吹き下ろしの風となる。建物の足元付近で強風が吹くことがあるのは、そのためだ。当然ながら、高い建物ほど上空の影響を受けやすい。

次々と建設される高層マンション

 このエリアではここ数年、工場の市外移転などに伴い、大規模マンションが続々と建設されている。この高層マンションブームのなか、風害に対する建築規制はあるのだろうか。

 多摩建築指導事務所によると、法令上の直接の規制はないが、たいていの建築業者は中高層建築物の建築にかかる紛争の予防と調整に関する条例に基づいて対処しているという。これは建築前に規模や用途、工事方法などを近隣住民に説明するというもので、性格的には、建築後の紛争を予防する意味合いが強い。従って、住民にとっては、これが根本的な解決とはならない。

 現実に起こっている風害に対処するには、植栽が効果的という。同環境局の担当者は「風が強く抜けるところに高低差のある木をランダムに植えると、風速が半分に減少するという風動実験の解析結果があります」と話す。

「原因不明」と腰の重い自治体

 もっとも、個人レベルで大規模な植栽は難しい。となると求められるのは自治体による規制だ。

 だが、西東京、東久留米、小平の各市では、現状では、風害を想定した建築規制などはない。その理由として、西東京市都市計画課担当者は「単なる風の影響なのか、ビル風による影響なのか、その原因を特定するのは非常に難しい」と説明する。

 しかし現実に、先の同市向台町では、屋根材が吹き飛んで住宅の窓ガラスを割ったり、工事現場のパイプのやぐらが倒れ道をふさぐなど、一つ間違うと命にかかわるような被害が出た。記録的に風の強い日のことだったとはいえ、建設中の大型マンションを目の前にしながら「これまで十数年ここで暮らしてきたけど、こんな被害は初めて」という住民の声を、「原因不明」と無視できるものなのか。事故があってからでは遅いが――。


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