W杯、8度目の日本代表

(本紙6/16号転載)

 サッカー競技を中心とするスポーツ専門のフリーカメラマンとして、世界をまたに掛ける。これまで7回連続で「FIFAワールドカップ」を取材し、それらの写真はスポーツ誌などで幾度も表紙を飾っている。現在は、南アフリカ共和国で行われているワールドカップで日本チームなどの戦いを撮影中だ。

赤木さん写真

 「スペインワールドカップで写真を撮るんだ」

 そう思い立ち、社会人3年目だった24歳の時、勤めていたコンピューター会社の営業職を辞めた。それから半年間は語学の勉強。ワールドカップ開幕を5カ月後に控えた1982年の1月、カリフォルニアへと旅立った。

 「営業という仕事を窮屈に感じて、そんな毎日に折り合いをつけるように週末はサッカーをしたり、写真を撮ったりしていました。『このままでいいのか』と思って行動を起こしましたが、南米やスペインへの旅はすべて片道切符だった。若気の至りというか、いまでは考えられないですね」

 そんな「無謀」な行動が功を奏した。当時は、現在のようにインターネットが普及していなかったこともあり、現地からの写真付きレポートは希少価値が認められてサッカー誌に掲載。スペイン大会には晴れてカメラマンとして撮影に臨んだ。以降、すべてのワールドカップでシャッターを切り続けている。

 「海外リーグの写真も撮りますけど、ワールドカップは特別。サッカー少年にとって、あこがれですからね。中でも、2002年には特別な思い出があります」

 日本と韓国の共催で開かれた02年のワールドカップ。同大会で優勝したブラジルチームのロナウドが国旗を頭上に掲げ、歓喜に包まれる瞬間を収めた1枚が雑誌「Number」(文藝春秋社)の表紙を飾った。

 「ワールドカップは4年に1度。それが働き盛りの40代の時に自分の生まれた国で開かれて、カメラマンとして携われるなんて素晴らしいこと。
 依頼されて撮っている以上、責任を果たせたという気持ちも強いですけど、撮った写真が雑誌の表紙になったというのは、カメラマン冥利(みょうり)に尽きます。よっしゃー、と思いましたよ(笑)」

 撮影時は、「空気感」を伝えられるよう心がけている。
顔に自国の国旗をペイントし、陽気にポーズをキメるサポーター。試合後、グラウンド上にぼうぜんと座り込む選手たちの後ろ姿。ゴール前でスライディングをする選手と、宙に浮きゴールへと放たれたボール。

 1枚の写真の中には、その場の状況を伝えるだけではなく、熱気や悲壮感までもが閉じ込められている。

 「一瞬を切り取った写真の中には、世界でもトップクラスの人間による身体表現が焼き付いています。デジタルカメラでは1秒の間に何枚も写真を撮ることができますが、そのベストショットはコンマ何秒の間の1枚にしか存在しません。
 でも、その1枚を撮れたときは最高。そして、写真は現場に行かないと撮れないもの。だからこそ、その『現場の空気感』を伝えたい。『これは南アフリカ大会の写真だ』と一目で分かるものを撮りたいですね」

 ◆あかぎ・しんじ スポーツフォトグラファー。1957年生まれ。西東京市出身。

 近年は10代の日本代表チームの撮影をメーンに活動するほか、ゴルフやスキー競技の撮影にも携わっている。著書にスポーツジャーナリストの杉山茂樹さんとの共著『ワールドカップが夢だった。』(ダイヤモンド社、159ページ、1680円)がある。

 7月11日まで、カフェ&ギャラリー「田無なおきち」(西東京市田無町4の28の7)で写真展「なおきち de 蹴球写真」を開催中。

 過去7回のワールドカップの写真を17点展示。営業時間は月曜から土曜の正午(土曜は午後1時)から午後10時まで。日曜、祝日は休み。詳しくは同店(042・446・7028)へ。


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