2018.05.10 この町この人

[この町この人]“超低山の深さ”をガイド イラストレーター・『東京まちなか超低山』著者 中村 みつをさん(小平市在住)

自然や旅をテーマに、絵やエッセーなどを手掛けるイラストレーター。先頃、高低差50メートル以下の東京の山を紹介する『東京まちなか超低山』を出版。各メディアで取り上げられる話題の書となっている。


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 新刊では2、3分で登れる「超低山」を特集したが、自身はバリバリの登山家。高校生のときに国内でも有数の難所・谷川岳一ノ倉沢衝立岩を登攀(とうはん)。これまで、ヒマラヤやヨーロッパアルプス、パタゴニアなど、世界各所を歩いてきた。

 

そのきっかけは、中学生のときに小平から西を見てふと抱いた「あの山は何だろう? 奥多摩とかいうんだよね?」の問い。

 

「行ってみようか」と友人と誘い合ったのが始まりで、間もなく山に魅せられた。

 

より高く、より険しく――そんな登山を続けてきたが、20年ほど前、出版社を訪ねた帰りに、ふと思い立って愛宕山に寄り道したのが「超低山」との出会いとなった。

 

「出世の石段」で有名な愛宕山は、天然の山としては23区内で最も高い独立峰(標高25・7メートル)。登ってみると、高山と変わらない高揚感、征服感があった。

 

「なんで東京都心に山があるのだろう?」

 

そんな疑問がイラストレーターの頭に飛び込むと、その脳裏には建造物を取り払った300年前の地形が広がった。起伏に富んだ、江戸市中と郊外。とりわけ、生まれ育った花小金井を源流にする石神井川が、北区王子の飛鳥山まで注いでいると気づいたとき、「つながっているな」という感覚が生まれた。

 

「超低山は、かつての光景を想像しながら登ると本当に楽しい。周囲は町だったのか、原野だったのか。富士山も見えたはずです。その山道はかつて江戸町人や町娘たちが登った場所。超低山は、江戸時代に遊びに行ける特別な場所なんですよ」

 

言われてみれば、江戸時代の人々と同じ石段や土の道を歩けるのは「山」ぐらいかも。ちなみに、超低山の近くにはそばやうなぎなどの老舗も多く、食でも、当時とつながれる楽しさがある。

 

「東京の超低山には、高さ以上の深さがあるんです。その魅力を多くの人に味わってほしいですね。遭難のリスクも小さいですし(笑)」

 

◆なかむら・みつを 1953年小平市出身、イラストレーター、画家。読売新聞連載の「一歩二歩山歩」の挿絵を20年続けている。著書に『のんびり山に陽はのぼる』(山と渓谷社)、『山旅の絵本』(JTBパブリッシング)など多数。日本山岳会会員。

 

読者3人に進呈

 

『東京まちなか超低山―50メートル以下、都会の名山100を登る』は、A5判、128ページ、ぺりかん社から発行。1944円。全国書店で販売中。イラストとエッセーから成り、小平市花小金井の「馬の背」(狭山・境緑道)や、都立武蔵野公園内の「くじら山」なども収録している。

 

本紙では、読者3人に、同書をプレゼントする。応募ははがきに郵便番号、住所、氏名、年代と、本紙へのご意見を明記し、タウン通信「超低山」係(〒188-0011 西東京市田無町4の9の6)へ。応募は19日まで(消印有効)。当選者の発表は同書の発送をもって代える。