2018.07.06 特集

「ワーママ十人十色」小崎奈央子さん インタビュー(4/4)

 

■多摩エリアのワーママに聞く、働く母の在り方。

一口にワーママ(ワーキングマザー)と言っても、大切にしたいものや、環境、悩みはさまざま。そんな十人十色なワーママたちの、モデルとなるような生き方をしている人たちに『タウン通信』が取材しました。第1回の登場は「仕事も、子どもと同じように大切にしたい」と話す、小崎奈央子さんです。

 

<プロフィール>

小崎奈央子(おざき・なおこ)

株式会社けやき出版/代表取締役社長・編集者

「まちと人をつなぐ」をコンセプトに、東京都多摩地域に関する情報を発信しているけやき出版。一般書・地域情報誌・社史や自費出版などを手掛けており、1997年に創刊した季刊誌『たまら・び』は、7月1日発行号で100号を迎える。同記念号では「多摩ってなんだ?」をテーマに、多摩全域を紹介。それぞれの町で生きる人たちの「WEST TOKYO STYLE」を探る。

http://keyaki-s.co.jp

 

<目次>

イントロダクション(※7月2日公開)

第1回 出産で一度は手放した、憧れの職業。(※7月3日公開)

第2回 肉体的につらくても、離婚で心は自由になれた。(※7月4日公開)

第3回 シングルマザーとしての葛藤と決断。(※7月5日公開)

第4回 ママだからって、不自由じゃなくていい。(※本ページです)

 

■子どもが「来て」と言った行事は絶対に行く。

 

——多忙ながらも充実した日々だとは思いますが、子育てに関して「本当はもっとこうしたいのに」と感じることはありますか?

 

一番申し訳ないなと思うのは、学校のことが全然できていないんですよね。たとえば、PTAとか。つまり、母親同士のコミュニケーションが全然取れていなくって。そこができていれば、娘の友だち関係についてもわかってあげられることが増えると思うんですけど。

 

ただ、授業参観だけは何があっても絶対に行く、と決めていて。保護者会とかは全然行けてないんですけど(笑)。授業参観に限らず、娘が「来て」と言ったものは必ず行くようにしています。

 

あとは、やっぱり、私の帰りが遅いので。まだ小学生の娘と一緒に寝てあげられないのは、申し訳ないというのもありますし、私自身が嫌ですね。娘は今4年生なので、あと数年も経てば一緒に寝なくてもよくなってしまうではないですか。だからこそ、一緒に寝られる機会をもっと増やしたいなと思っています。そこは、すごいジレンマですね。でも、子どもたちがさびしい思いをしないようにと、私の親にはとても助けられています。

 

——ご両親の協力というのは。

 

二世帯住宅に近い形で住んでいて。弟家族もすぐ近くに住んでいるので、甥っ子たちとも仲良くしていて。とてもありがたい環境です。

 

 

——茨(いばら)の道を進む小崎さんにとっては、願ってもない助けですね。

 

周りからは「どうして、わざわざ大変なほうを選ぶの?」と聞かれます(笑)。どうしてなんでしょうね。

 

——仕事に関して言えば、子育ての話で「自己肯定感」というワードが出たのが気になっていて。私自身がそうなんですが、仕事をすることでのみ自己肯定感を得られるんです。小崎さんはどうでしょうか。

 

よくわかりますね。私、そもそも自己肯定感がないんですよ。まったくなくて。子どもの頃から、自分は必要とされていないんじゃないかって。信じることができなかったんですね。だからこそ、自分の子どもたちには、絶対的な愛情を注ごうと決めていて。

 

……仕事って、裏切らないじゃないですか。頑張れば頑張るほど結果が伴うので、努力が報われたときのよろこびがダイレクトに伝わってくる。だから、やらざるを得ない……のかな。そうかもしれない。

 

自分が必要とされていないんじゃないかという不安があるから、どんどん、どんどん大変なことでもやってしまうのかもしれません。もちろん、受け身の感情だけではなくて、大変なことほど「やってやれ!」と思うんですけどね(笑)。

 

■働くことで気持ちよく子育てできる人もいる。

 

——今回のワーママ企画に関心を持った読者は、さまざまな悩みを抱えていると思うのですが、同性から夫婦や子育てについての相談を受けることが多いそうですね。

 

男性が家事や子育てに協力的ではない、というケースが多いですね。「あなたはテレビを見ているのに、どうして私は、あれもこれもしないといけないの?」という不条理感がつらい、と。そうなると、女性は2パターンに分かれるんです。

 

「他人に愚痴を言わずにはいられなくなるタイプ」と「パートナーに期待することを諦めるタイプ」です。

 

——想像すると、耳が痛くなってきます。

 

あら(笑)。同じ人間なんだから、尊重し合って共に生活していくのがパートナーだと思うんですけどね。そういう関係性ならいいのにな、と思います。

 

相談してくる女性には共通点があって、みんな「小さく働きたい」と言うんです。子どもと家のことをやりながら、できる範囲で働きたいと。でも、本当は「出産前の仕事をもう一度したい」「ネイリストになりたい」など、思い描いているものがあるんですよね。

 

——諦めてしまっているんですね。

 

そうなんです。「やればいいじゃん、やれるよ! 私だって社長をやってるんだから!!」って返すんですけど(笑)。子どもがいても無理をしろとか、女性も仕事を頑張れなんて押し付ける気持ちは一切ないですよ。単純に、自己肯定感の低い私ですらできているんだから、他の人ならもっとできるのにって。

 

私自身がそうでしたけど、仕事をすることで子育てにも気持ちよく向き合えた部分があって。「自分がしたい仕事でも、働くことで今よりもっと大変になるんじゃないか」と不安になる人もいるかもしれないですけれど、結局は、働き方や家族との関係性だと思うんですよね。働きながら子育てをしているから大変、ということではないじゃないですか。

 

——不自由であることで苦しくなるんですよね。自分にも他者にも縛られない働く母のあり方を、小崎さんの生き方から感じ取ってもらえればと思います。

 

みんな、もっと自分に自信を持っていいのになって。自分を信じていない私がこうして働いているからこそ思うことなんですけれど。女性が気持ちよく子育てするためにも、仕事に限らず、自分を抑圧する必要はないというか。この記事を読んで、一人でも、仕事について前向きに考えてくれる女性が増えればうれしいです。

 

小崎さんのインタビューはこれでおしまいです。次回の「ワーママ十人十色」は、フルタイムで働きつつ、平日はほぼ“ワンオペ”で2人の子どもを育てている女性を紹介します。

 

(文・石川裕二)

 

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