2019.03.14 地域情報

西東京市のアニメ制作会社「エクラアニマル」に やなせたかし文化賞

第1回「やなせたかし文化賞」の受賞を喜ぶ エクラアニマルの豊田ひとみ代表(右)と 本多敏行さん

 

 

長年の文化活動に高い評価

 

西東京市にあるアニメ制作会社「エクラアニマル」が、第1回の「やなせたかし文化賞」を受賞した。「アンパンマン」の原作者の名を冠した同賞は、子どものための良心的な漫画等の芸術的活動に贈られるもの。同社が長年にわたって続けてきた自主制作アニメなどの活動が評価された格好で、豊永ひとみ代表は「一過性ではないところを認めてもらえてうれしい」と喜んでいる。

 

同賞は、2013年に他界したやなせさんの遺言で設置されたもので、子どものための芸術文化の向上と振興を目的に、2年に1度贈られる。第1回の発表は、やなせさんの生誕100周年となる2月6日に行われた。

 

文化賞を受賞したのは、5者(団体・個人)。絵本作家や人形劇団が受賞するなかで、企業は同社のみ。受賞理由を豊永代表は「『子どものため』を第一にしたアニメ作りと市民活動、そして会社の在り方が、トータルで評価されたのだと思う」と話す。 

 

エクラアニマルは、「シンエイ動画」から独立する形で1982年に創業(=前身会社)。「ドラえもん」などのほか、「それいけ!アンパンマン」シリーズの制作にも関わってきている。生前のやなせさんとも交流を持っていた。

 

そうした制作業務の一方で、同社は、2000年から自主的な活動を実施。市内の保育園で自主制作アニメの「無料上映会」を開いたのを皮切りに、声がかかるまま、手弁当で全国各地を飛び回ってきた。保育園、小学校、養護学校など、訪問先は300カ所以上に上る。映画館のない五島列島を訪ねたときには、島中で歓待を受けたという。

 

活動の背景にあるのは、「アニメが子どもたちをちゃんと育てているだろうか」という問い。商業主義がはびこる中で、「正義VS悪」「正義のパンチ(=暴力)で解決」といった分かりやすい構図にすべてが落とし込まれることに危機感を持っている。活動を始めた当時の思いを、同社のアニメーター・本多敏行さんは「『これは良い作品だな』と思ってテレビ局に企画を持ち込んでも、視聴率や流行が判断基準になっていて、取り合ってもらえない。ならばいっそ、自分たちで手掛けようと思った」と振り返る。

 

こうした自主活動の中で同社は、良質な作品を子どもたちに見せたいと、加古里子さんの人気絵本から「だるまちゃんシリーズ」や、上田トシコさん原作の「フイチンさん」(59年に小学館漫画賞)、ちばてつやさん原作の「風のように」(日本映画批評家大賞アニメ部門声優賞野沢雅子受賞)を自主制作。各地を訪問した交流の中で、福島県の民話をベースに無償の愛を描く「かっぱのすりばち」もアニメ化した。

 

地元とのつながりでは、西原自然公園の樹林再生活動を紹介する「さくらとサクリン」や国史跡をPRする「下野谷縄文遺跡物語」をアニメ化。同社オリジナルの「キャラ丸くんとドク丸くん」は、地域のキャラクターとして親しまれている。

 

このほか同社では、小学校と連携してのエコキャップ集めや地域の清掃活動なども実施。環境イベントなどへの参加やアニメ制作ワークショップなど、多彩で精力的な活動を続けている。

 

「経営とやりたい活動との両立が難しいが、『子どもたちに正義を伝えたい』という情熱で走ってきた。教育関係のアニメ制作も増えているなか、エクラアニマルに頼めば良質の作品を作ってくれるよ、ともっと広く認知されるようになりたい」

 と豊永代表。

 

なお、同社は現在、同市在住の切り絵作家・小出蒐さんの作画をもとに「平家物語」の映画を制作中。来年の東京オリンピックに合わせ、日本文化を世界に伝えたいと意気込む。

 

豊永代表は、「この受賞で『よし、間違ってなかった』と確信できた。この道を突き進もうと、心にスイッチが入りました」と張り切っている