2019.04.03

【社会参加】先輩に学ぶ 元保谷市長・都丸哲也さんの場合

元 保谷市長・都丸哲也さん


                 
生涯現役で走り続ける
 

 高齢者の心身の健康に、「社会参加」が注目されている。外出の機会や人との交流、何より、知見を生かして社会貢献できることが生きがいにつながっていく。実際、この地元でも、年齢を感じさせないバイタリティーで地域活動をしている人は多い。その一人、今月98歳になる都丸哲也さん=写真=に迫った。


 元保谷市長。保谷町時代の町議から10年間議員として活動。1977年市長に当選。72歳まで4期16年を務め、とくに福祉と教育に力を注いだ。全国で初めて個室特別養護老人ホームを開設、乳幼児医療の無料化などを実現したことでも知られる。

 

政界引退後も、東京原水協などの代表理事を務めたり、憲法の学習会を催したり、休む間もなく活動を続けてきた。その多くは、今も継続している。

 

「これは、議員の頃から言っていることですが、『平和』と『基本的人権』を守ることが政治家の役割。そのためには『日本国憲法』の精神を学び、子どもたちの『教育』の土壌を整備しなくてはならない」

 

日本国憲法施行よりも約1カ月早く教育基本法が制定されたことを重く感じるべきという。

 

こうした都丸さんの「平和」「人権」意識の原点となったのは、一兵士として召集された戦争体験だった。

 

ボルネオ島で飛行場を守る部隊に配属。他の戦場ほど苛酷な状況ではなかったが、食糧難に苦しんだ。終戦後、捕虜として半年間暮らした。

 

都丸さんが最も鮮明に覚えているのは、兵士たちが列を作って復員船に向かった時のこと。道路脇に並ぶ現地の人々から、日本兵が頻繁に口にしていた「バカヤロー!」の言葉を投げつけられた。中には投石も……。

 

「戦争中は笑顔で接してくれた人たちでしたが、解放された途端に本音が表れた。これが戦争なんだなと、しみじみと感じました。こんな思いを次の世代に味わわせてはいけない。戦後の私の活動は、そこからスタートしているんです」

 

現役の「語り部」として

 

一昨年からやはり発起人として名を連ねているものに「全国の首長による九条の会」がある。

 

これは、知事から町長、村長に至るまで、「元」「現」を問わず、さまざまな首長に呼びかけているものだ。保守も革新も関係なく、「九条」に代表される日本国憲法の精神を尊び、そこから地方自治を見つめ直そうという活動である。

 

平和にしても基本的人権にしても、そのベースは地方自治にあるはずだ。その「地方」がないがしろにされつつあるのが現代ではないか。その思いが呼びかけにつながった。

 

「地方自治は主権者たる市民の権利を守ることに力を入れないといけない。その意識が薄れている今は市民にとって非常に困ったことなんです。そうした危機感を抱く元首長、現役首長たちと手を携えていきたい。さすがに、元首長でも私が最年長になってしまいましたけどね」

 

学生時代に結核のために左肺を切除した。それが唯一の大病で、それ以外は健康そのもの。

 

「食べられるから元気なのでしょう。とくに健康法もやっていませんし、日常的に気をつけていることもありません」

 

そもそも「年齢のことなど考えている暇もない」という。

 

さまざまな集まり、学習会や勉強会の顧問や世話役を頼まれることも多い。

 

「自分から意義を感じて動き回っていますから、それが活力になっているのかもしれません。平和にしても憲法にしても、今もなお学ぶことばかりです」

 

戦争や自然災害など人々の体験はやがて風化していく。それを防ぐには、語り続けねばならない。都丸さんはその役を、体力が続く限り務めるつもりだ。


    ◇   ◇

 

高齢者の社会参加については自治体も後押ししている。

 

例えば、西東京市が取り組む高齢者の「フレイル(=虚弱)予防」事業でも、身体機能、認知機能の衰えと併せ、「社会性の虚弱」が予防対象となっている。

 

国も、昨年閣議決定した「高齢社会対策大綱」で高齢者の学習・社会参加の促進をうたう。

 

なお、2013年の意識調査では、高齢者のグループ活動による効果として、上から「新しい友人ができた」(48・8%)、「生活に充実感」(46%)、「健康や体力に自信」(44・4%)となっている。

 

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