2017.06.22 この町この人

【この町この人】 「五十の手習い」から人気講師に 吉田 豊さん

吉田豊さんの写真
多数の著書も手がける

 

 

江戸時代のかな文字やくずし字である「江戸かな」の入門書を何冊も世に出す古文書研究家。講座・講演も人気で、80代半ばに差しかかる身ながら、活動ぶりは現役そのもの。毎週銀座まで出て、博物館の文書管理の手伝いもしている。

 

この春出した『春画で学ぶ   江戸かな入門』(共著、幻冬舎)は、企画の斬新さもあり、週刊誌等で盛んに取り上げられる話題作となっている。

 

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江戸かなを真剣に勉強し始めたのは、50歳を過ぎてから。書店で偶然草双紙の本を手にした瞬間、ぱっと幼い頃の情景が脳裏に蘇った。戦中で娯楽もない、福島県の田舎町。蔵の中に積まれた草双紙の絵を眺めるのが何より好きだった。

 

「あの頃は読めなかったこの文字を読んでみたい」

 

一念発起して草双紙を3度通読。原文と解読文を一字ずつ照合して読み進めるうちに、だんだんと文字が分かるようになってきた。

 

どうしても分からなかった幾つかの文字を出版社に問い合わせると、そのほとんどはなんと校正ミス。そんな縁から下読みを頼まれるようになり、いつしか、古文書研究家の林美一さんの弟子になっていた。

 

今では逆に、人に教える立場。古文書の生涯学習1級インストラクターの資格も持ち、地元・西東京市でも指導を続けている。江戸かなの魅力は、コツをつかめば誰でもすぐに読めるようになるところだ。

 

「難しそうと思って尻込みする人が多いですが、講座で5回も学べば、すらすら読めるようになります。それどころか、みんな独自に解読文の小冊子まで作りますよ」

 

江戸かなは版画で残されてきた文字のため、ある程度の「型」が決まっているのが覚えやすい理由だ。

 

「江戸時代に作られた草双紙や春画は、少数しか刷れないというのに、ものすごい手間暇をかけて丁寧に作られている。それを受け取る人々もまた、貴重な本を大切に読み継いできた。江戸かなを学ぶというのは、そうした日本文化に触れるということ。多くの人にこの魅力を知ってほしいです」

 

◆よしだ・ゆたか 1933年、福島県生まれ。定年まで務めた陸上自衛官時代に古文書(江戸かな)に出会う。著書に『江戸かな古文書入門』(柏書房)、『江戸服飾史談』(芙蓉書房出版)など多数。地元では、西東京市文化財保護審議会委員、図書館協議会委員など歴任。瑞宝小綬章受章。

 

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最新刊『春画で学ぶ  江戸かな入門』は、車浮代さんとの共著。A5判、192ページ、1728円。全国書店・ネット書店で販売中。