ボーイスカウトら、市民から惜しむ声
西東京市が長野県上田市に持つ教育施設「菅平少年自然の家」が、老朽化などを理由に、26日の宿泊利用を最後に廃止となる。37年にわたって運営され、小学校の移動教室で使われていたこともあり、市民からは惜しむ声も上がっている。
「自然の家」は1974年8月、主に子どもたちの健全育成の場として活用することを目的に、当時の田無市により開設された。都市化の進むなか、子どもたちが自然の中で団体行動を通し、忍耐力や奉仕の心、協調性などを養えるようにと移動教室で利用されてきた。昨年も、西東京市立全19校の小学6年生が訪れている。
建物は地上2階・地下1階建てで、延べ床面積約2454平方メートル。21室があり、最大149人が泊まれる(冬季は約半数の定員)。周辺にはスキー場や温泉、ハイキング道などがある。
学校が使用していない間は一般開放されており、市民の場合は、食事付きで1泊大人3600円(夏季)と格安。昨年は、約4700人が利用した。
閉館となるのは、老朽化が大きな理由。市の財政状況などから見て、建て替えやその後の継続は困難と判断された。自治体の財政状況が悪化するなか、東久留米市が「たてしな荘」(長野県)を2003年に廃止するなど、各市区で保養施設の廃止が相次いでいる。小平市では山梨県北杜市で八ヶ岳山荘を運営しているが、こちらも来年度末を前提に、廃止の検討が続いている。近く議会に諮られる見込み。
「菅平」の廃止に、リピーターだった市民からは落胆の声も聞かれる。毎年スキー合宿を行っていたボーイスカウトの西東京第1団カブスカウト隊もその一つ。カブスカウト隊で約10年にわたり隊長を務める梶田勝之さんは「子どもたちの団体活動をするには最高の施設。料金は安く、3時間くらいで行けるうえ、周辺には手つかずの自然もある。私の知る限りで、『西東京第1団』は少なくとも30年以上利用し続けており、指導者側に土地勘もあったし、現地の人とのネットワークもできていた。同じような施設を見つけるのはまず無理でしょう」と残念がる。
ちなみに、同施設は食事の充実度でも知られていた。梶田さんは「合宿でほかの施設も利用するのでよく分かるのですが、他施設に比べ、菅平は確実に2、3品、メニューが多い。他施設では子どもたちに『食事は残すなよ』と指導するのですが、菅平ではあまり強く言えなくて……。食事は菅平での楽しみの一つでした」と笑う。
教育施設であると同時に、市民の保養施設としての側面もあるだけに、「お金だけで切り捨てるのは……」といった声も少なくない。ただ一方で、少子高齢化や、菅平の場合ではスキー人口の減少など、今後の利用層を考えると「廃止やむなし」の背景があるのも事実だ。
今後、小学校の移動教室は別の施設を使う予定で、来年度については、群馬県前橋市にある国立赤城青少年交流の家を利用することが決まっている。
なお、「菅平」の利用は26日の宿泊まで。現在、土曜の予約は満員だが平日は空きがあるという。詳しくは菅平少年自然の家(TEL:0268・74・2277)へ。
(取材記者:谷 隆一、2012年2月1日)