眼内レンズについて

街かど診療室

保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム

 

白内障の手術の際、摘出した水晶体の代わりに眼球の中に挿入する人工レンズを眼内レンズと総称します。

眼内レンズは、先の世界大戦の際、撃墜された航空パイロットの眼内に入った異物(プラスチック)が炎症反応(免疫反応)を起こさなかったことから、眼内に入れても大丈夫である可能性が示唆されて以来研究が進みました。

それまでは、白内障の手術で水晶体を取ると、大半の人が強度の遠視となり、分厚い眼鏡を必要としていましたが、眼内レンズの普及で、近視の人から遠視の人までその恩恵を享受できるようになりました。

 

度数は計算式で決まる

眼内レンズは、その人の希望する屈折を計算式で度数決定します。

これは、何千何万と集めた眼球形状及び眼内レンズの特性を併せた計算式ですが、経験値による計算式のため、エラーが出ることもあります。遠くに合わせたいと言ったが近くにピントが合うなどの話は、ほとんどが計算式のエラーです。

現在は計算式の精度が良くなってきたため少なくなりましたが、大幅にズレた際は、眼内レンズの入れ替えをすることもあります。

 

よく受ける2つの質問

眼内レンズの話をすると、多く受ける質問が2つあります。

一つは、取り替える時期。何らかのトラブルがない限り、眼の中に入れた眼内レンズは一生眼の一部として働き続けますので、取り替えの心配は無用です。

もう一つは、遠近両用の眼内レンズですが、現在日本では、先進医療として自費にてその挿入術を受けることができます。

私はさまざまな理由から扱ってはおりませんが、これはインターネットで調べられるので、その手術を受けたいときは、当該施設に行って手術適応を含め、相談しましょう。

 

プロフィール

伊藤 勇

「保谷伊藤眼科」院長。大学病院で最先端の眼科医療に携わった後、同院を開業。白内障等の日帰り手術のほか、網膜硝子体疾患手術、緑内障手術、眼科一般診療などを幅広く行っている。公式ホームページ:http://www.itoganka.com/

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