遺跡の図面作り生かし、切り絵作家へ  切り絵作家 井上 知子さん

井上知子さん(=写真)のアトリエにて、ル・サロン展入選作品(=左)の前で

西東京市在住の切り絵作家・井上知子さんは、フランスのコンクールで入賞するなど、最近注目の作家の一人です。

その作品は、立体感と色彩の鮮やかさが特長です。では、そのような作品が生まれた背景とは、いったい――!?

 

切り絵作家として異色の経歴

祖父の代から約100年、西東京市(田無)に暮し続けてきたという地元っ子。自身は高校を卒業後、設計事務所に3年間勤め、フリーとなりました。

その後、遺跡の図面を描くという、考古学関連の仕事を10年以上続けた後、43歳の時に切り絵を始めました。

当時、考古学の図面も手書きからパソコンヘ移行しつつありましたが、20年以上積み重ねた技術を生かした活動がしたいと模索した結果、辿り着いたのが切り絵だったといいます。

作品の一例

空想で図柄を生み出す

絵心やレイアウトのセンス、構図など、これまでの仕事と共通する部分が多く、さらに立体的な図面を数多く手掛けてきた経験から、ほかの切り絵作品にはない、より立体的でリアルな作品に仕上がっています。

作品は、古いフランス映画のワンシーンや、ヨーロッパの街並みを彷彿とさせるものが多く、全て空想の世界をテーマにしているので、何かを見て描くのではなく、頭の中に浮かんだイメージから完全にオリジナルの絵を生み出しています。

かつてはロートレックやルノワールも籍を置いたという「フランス芸術家協会」主催のル・サロン展(340年余続く、 世界最古の公募展ともいわれます)で、2012年に入賞。その実力は、世界で評価されています。

創作の様子

進化した切り絵を

作品は1点完成するまで、短くても2週間、長いと3カ月はかかります。その間、作品と向き合う孤独な日々。

それだけに、フランスでの受賞は、感慨ひとしおだったといいます。

「今後も、従来からあるものではなく、“進化した切り絵”にチャレンジしていきたい」

気鋭のアーティストらしく、力強く語ってくださいました。

 

いのうえ・ともこ プロの切り絵作家。2012年ル・サロン展入選、西東京市在住。

 

吉祥寺で個展

明日3日(木)から9日(水)までの午前11時から午後6時(9日は4時)まで、JR吉祥寺駅近くの「ギャラリー永谷2」(武蔵野市吉祥寺本町1の20の1)で「切り絵アート 井上知子展」が開催される。これまでの作品30数点を展示。

(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)

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