武蔵野大学・熊田博喜教授に聞く 「コロナ」の中での地域福祉やコミュニティ

「地域福祉」が専門の眼から 「あらゆる手で『つながり』の維持を」と指摘

新型コロナウイルスの影響で地域の人々のつながりが薄れていくなか、私たちはこの日々をどう過ごしていけばよいのでしょうか。

コミュニティや社会的包摂などの「地域福祉」を専門にする、武蔵野大学人間科学部社会福祉学科教授の熊田博喜さんにお話しをうかがいました。

熊田教授からは、地域福祉の課題だけでなく、今、市民団体・サークルがすべきことへのメッセージもいただきました。

 

インタビューは、動画および記事で配信

インタビューは、緊急事態宣言の延長を受け、2020年5月7日にオンライン通話で行いました。その様子を、約25分の動画にまとめています。

また、抜粋した記事を下記にまとめています。

動画(25分58秒)

 

以下、本文抜粋 熊田教授との一問一答 (内容は上の動画の抜粋になります) 

――熊田先生は、西東京市ほか各市で地域福祉計画の策定に関わっています。このような事態をどう見ていますか。

「正直、地震や水害は想定していましたが、このようなウイルス禍を考えたことは、少なくとも私はありませんでした。

今、地域福祉の現場はかなり頭を抱えていることだろうと推測します」

 

――この間で、気になっているのは何ですか?

「人々が排除されることなく自分らしく暮らせるためには『つながり』が重要だという考えから、私はこれまで、地域の中にサロンや居場所を作ることを推奨してきました。しかし今、“3密”のため、その多くは稼働していません。人々の孤立化を心配しています」

 

――サロン以外にも、「孤立」を防ぐ方法はあるのでは?

「地域の中でつながりを作る方法には、大きく3つあると思っています。一つはサロンや居場所、もう一つは見守り、そして支え合いです。支え合いは、直接訪ねていってコミュニケーションを深めるという方法になります。しかし、感染症が流行するなかでそれは難しい。  東日本大震災でもそうでしたが、危機のときに最も困難な状況に陥るのは弱い人たちです。この状況下でその人たちをどうサポートできるのかは重要なポイントです」

 

「コロナ」は人間関係も破壊する

――『つながり』という観点では、市民団体やサークル活動もその一つです。しかし、公共施設の休館などで多くの団体が活動できずにいます。

「仮にこの状況が半年、1年という長さになった場合、たとえ活動が再開できる状況になっても、人々が集まってこない可能性が高いと思います。つながりが解体・縮減されてしまうからです。

『コロナ』の怖いところは、人体の破壊だけでなく、人間関係すらも破壊していくことです。社会的なところもやられないように、人と人とのつながりの部分が壊されないようにどうすれば良いのかを、真剣に考えないといけないと思います」

 

――どうすれば良いのでしょう?

「一つの方法としては、オンライン通話などのコミュニケーションツールを利用していくことだと思います。

高齢者は使えないなどと決めつけず、この状況下では、できるものはすべてする、という発想でやるべきです」

 

――オンライン通話などの活用で、市民活動の形は変わりますか?  「人と直接会ってコミュニケーションを取るというのは、人の本質的な営みです。それが消えることはない。

ただ、小さな会議などはオンライン通話などで済ませるようにはなるでしょう。電話やメールでのコミュニケーションを考えれば、テクノロジーの進化がコミュニケーションを変えるのは明らかです」

 

「もうダメだ」とあきらめてはいけない

――活動できず困惑している市民は多いと思います。「コミュニティ」を専門にする立場からメッセージを頂けませんか。

「『つながり』を切らないようにどうすれば良いかを考えることが大切です。『この状況では仕方がない』『もうダメだ』と諦めてしまうことが一番の大きな問題だと思います。

オンライン通話や、先に触れたつながりを作る方法の中で『見守り』は比較的有効な方法だと思います。また、昔ながらの回覧板でもいいと思います。

今利用できるものを何でも使い、『つながり』を担保することが大事です。ですから、『できることをしよう』と呼びかけたいですね」 

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