加齢黄斑変性や黄斑浮腫に対する治療について

街かど診療室

保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム

 

人間の目の中に光が届く一番奥が黄斑部といわれ、その中心は視力1.0を稼ぎ出す中心窩と呼ばれ、大きさはボールペンの芯1個分ほどの領域です。

黄斑部に血管のダメージが生じ、中心窩を巻き込んで出血や浮腫が生じると、途端に視力は低下し、放置することで不可逆性の組織の瘢痕(はんこん)化を来し、見えなくなってしまいます。

 

加齢黄斑変性の治療

加齢黄斑変性と診断され、治療として硝子体内抗VEGF抗体(新生血管促進因子阻害剤)注入を継続している方が増加しています。また、網膜中心静脈(分枝)閉塞症や糖尿病によって、黄斑部に浮腫を来して同じ治療を継続している方も少なくありません。

以前は効果の低い内服治療や侵襲の強いレーザー治療、手術療法で対応していましたが、約10年前より、抗VEGF抗体を眼球内に投与することによって、一時的もしくは長期的に黄斑部のダメージを回避する治療が主流となっています。

病気の形態によって、毎月注射をしている方もあれば、1、2回の注射であとは経過観察となる方もおり、どうしてそのような差があるかはまだ完全には判っておりません。

 

ルテインの勧め

昨今のCOVID-19で継続治療が中断してしまい重篤化した暗い話題も聞こえてきています。継続治療、定期的な経過観察も重要です。

黄斑変性の予備軍と検診で指摘される方も多くなってきています。

その際は、眼科でどの程度の進行具合なのか定期的に調べてもらうことも重要ですし、予防としてサプリメント(ルテイン)を摂取することは、科学的に効果が証明されているので強くお勧めします。

中心性網膜炎の既往がある人や抗VEGF抗体の治療経験のある方にも同様にルテインの摂取をお勧めします。

 

プロフィール

伊藤 勇

「保谷伊藤眼科」院長。大学病院で最先端の眼科医療に携わった後、同院を開業。白内障等の日帰り手術のほか、網膜硝子体疾患手術、緑内障手術、眼科一般診療などを幅広く行っている。公式ホームページ:http://www.itoganka.com/

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