古地図から地域を知る 東久留米が「歴史」シリーズ第2弾を発行

東久留米市教育委員会が先ごろ、市域の古地図を紹介する冊子『東久留米の古地図―明治時代地引絵図を中心として―』を発行しました。

著者は同市文化財保護審議会副会長の山崎丈さん。「古地図を通して当時の地域の文化を感じてほしい」と話しています。

東久留米市教育委員会が発行した『東久留米の古地図ー明治時代地引絵図を中心として―』

「地図は土地の歴史と文化を表す」と著者の山崎丈さん

発行された冊子『東久留米の古地図』は、現在の町の様子と対比させながら、市域の江戸・明治時代の地図を紹介するものです。

特に、日本初の全国的な近代地籍図となる、明治初期に作られた地引絵図を中心に紹介しています。

この地引絵図は、土地の私的所有を認めた地租改正に伴って作成されたもので、技術者の指導を受けながら、地域の人々が作っているのが大きな特徴です。それぞれの土地の所有にかかわることでもあり、妥協なく、正確に作られています。

著者で、東久留米市文化財保護審議会副会長の山崎丈さん

地引絵図は市の有形文化財

東久留米の市域には、この絵図が、南沢や柳窪などの村単位で全図9点、その村をさらに細かく測量した切図が76点残されており、その所有者などをまとめた取調野帳と共に、市の有形文化財に指定されています。いずれも普段は保存のため非公開となっています。

過去に全図が刊行されたことはありますが、切図が詳細に紹介されるのは今回が初めて。地域を知るうえで有用な一冊となりそうです。

 

「昔の地図を見たい」の声多く

今回冊子が発行されたのは、地域の歴史をテーマごとに掘り下げようという企画の一環です。

同教育委員会では一昨年度から『東久留米市歴史ライブラリー』を発行しており、今回が2巻め。ちなみに、初巻は『東久留米の戦争遺跡』で、3巻めは今年度末をめどに「学校史」をテーマに発行予定でいます。

そのシリーズの中で今回「古地図」をテーマにしたのは、市民の要望が多かったからだそうです。

初巻、今回と執筆した元同市郷土資料室学芸員でもある山崎丈さんは

「郷土資料室でも図書館でも、『昔の地図について知りたい』という声がよく寄せられます。地域に興味を持ち、『昔の姿を知り、どう変わったか歩いてみたい』と思う方が多いようです」

と話します。

 

現在との比較が一目瞭然の作り

そうした声を受けての編集だけに、今回は、実用面も重視されています。

例えば、古地図の上に、現在の建物(小学校など)を記載し、イメージが湧きやすいように工夫されています。

また、地図に添えた文面では、その地域の変遷や特徴などが簡潔にまとめられています。

「地図はその土地の歴史と文化を表すものです。地名などにも注目すると、発見があるはずです」

と山崎さん。

ちなみに、山崎さんの専門は考古学。それをベースにした目で東久留米の歴史を追うと、「湧水と川が地域を豊かにした歴史」ということになるといいます。

「湧水があって、縄文時代に集落ができ、中世・近代では村ができてくる。地名にも、前沢、南沢、柳窪など、水に関係するものが多い。古地図の中にも水辺がたくさん描かれています」

とのこと。

昨年3月に発行された『東久留米の戦争遺跡―戦争の惨禍を語り継ぐために―」。著者は『古地図』同様、山崎さん

1200円で販売中

なお、同冊子(A4判、112ページ)は1200円で販売されています。郷土資料室、市役所(2階・生活文化課)で購入できます。

各図書館では閲覧が可能です。なお、中央図書館は大規模改修に伴い、来年3月31日まで休館中なのでご注意を。

詳しくは郷土資料室(042・472・0051)へ。

東久留米市 郷土資料室

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