座りションに異論

2015年4月1日

タウン抄

「タウン通信」代表・谷 隆一コラム  タウン抄 

 

男の小便といえば立って済ますのが古来普遍のスタイルのはずだが、最近では、女性のように洋式トイレに腰掛けて用を足す男性が増えているという。いくつかデータがあるようだが、半数以上という調査結果もあるらしい。

ちょっとにわかには信じられない。どうやったら、男が座って小便をするという発想になるのだろう。

「だって汚れるじゃない」

新聞記事で座りションを知り、「これは使える!」と思ったらしい妻が、したり顔でこちらを説き伏せにくる。

「いや、それは女性の発想だ。あれにはコツがある」

仕方がないので、洋式トイレを汚さずに済むやり方を教えてやった。さして特別なものではない。要は、腰を軽く落として(野球のバッティン グの構えに近い)、中央の水たまりの縁(へり)を狙うというものだ。狙い方にトイレを汚さないうえでのポイントがあるのだが、ここでは詳細は割愛する。

ともあれ、私はこのスタイルを、高校時代に友人たちから教わった。したがって、我流ではない。男性全員がこのスタイルだとまでは言わないが、少なくとも、一つの流派であることは間違いない。

ところが昨今、若い母親が女性の観点から息子に座りションを教えているという。
これはいけない。 大事なのは、正しい立ちションのスタイルを教えることだ。

「でも、そこまで立ちションにこだわることないでしょ」

力説する私に、横で妻が不平を言う。

「あのね、立ちションというのは、男のアイデンティティーなの」

きっぱりと私は言ってやった。
「男は元来、戦士なわけ。いつ敵から襲われるのか分からないわけ。だから小便も短時間で済ますわけよ」

「でも、家のトイレにまで襲ってくる敵なんていないでしょ」

正論で返してどうするんだよ。

「あのね、男はね、短時間でトイレを出ることで、『おれ、今の小さいほうだから』と無言でアピールしているの。そこを理解してほしいなぁ」

「座りションが一般的になれば、そのアピールも意味なくなるね」

…… ああ、どうすれば立ちションの美学を理解してもらえるのか。
かくも男女の溝は深い。 

(2015年4月18日号・本紙掲載分から転載)

プロフィール

谷 隆一

株式会社タウン通信代表取締役。地域紙「タウン通信」を多摩北部で約10万部発行、ウェブサイトでも地域情報を発信する。著書に『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『起業家という生き方』(同、共著)、『スポーツで働く』(同、共著)、『市役所で働く人たち』(同)がある。

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