「ゆうやけ」の村岡真治さん、銀河鉄道の山本宏昭さんにシチズン賞

西東京市に本社を置く「シチズン時計」が主宰する「シチズン・オブ・ザ・イヤー」(シチズン賞)の今年度の受賞者に、小平市にある放課後等デイサービス「ゆうやけ子どもクラブ」の代表・村岡真治さん(62)と、東村山市に本社を置くバス会社「銀河鉄道株式会社」を経営する山本宏昭さん(57)が選ばれました。

シチズン賞は、市民社会の発展や幸せ・魅力作りに貢献した人などに贈られるもので、今回が31回目。

広い視野から市民を顕彰する賞として、社名に「CITIZEN」を掲げるシチズン時計が1990年に創設しました。

全国の人を対象にしている賞ですが、今回は北多摩エリアから2人が選ばれました。

なお、この2人のほかに、クラウドファンディングで寄付を募り、難民キャンプで暮らすロヒンギャの子どもたちを支援した群馬県の鈴木聡真さん(12)、鈴木杏さん(10)、一寸木大喜さん(10)、一寸木悠喜さん(8)の4人も受賞しています。

 

自閉症・知的障がい児のための学童保育の先駆者・村岡さん

受賞した村岡さんは、障がい児の放課後の居場所となる放課後等デイサービス事業所「ゆうやけ子どもクラブ」の代表者です。

現在、小平市内で3カ所運営しています。

同クラブの発足は1978年。大学生だった村岡さんを含むボランティア5人によって始まったもので、障がい児のための放課後の居場所をつくるその活動は、全国的にも先駆的なものでした。

ゆうやけ子どもクラブ代表の村岡真治さん

 

村岡さん自身は、大学卒業後に中学校の教諭となり、活動を離れた時期もありました。

しかし、ボランティア仲間が次々と活動を離れていくなかで、「このままでは発足時の思いを伝える人がいなくなってしまう」と危機感を覚え、1年で退職。1984年にクラブに戻り、以降、先頭に立ってクラブ運営に尽力してきました。

その活動は、ドキュメンタリー映画「ゆうやけ子どもクラブ!」として劇場公開もされています。

なお、この映画の監督は、布川事件を追ったドキュメンタリー「ショージとタカオ」などで知られる井手洋子さんが務めています。

今回の表彰理由については「障害児の尊厳を大切に、時間をかけてその人格を育てていくという考え方は、生産性第一主義がはびこる今、忘れてはならない貴重な哲学」などと挙げられており、村岡さんは、「子どもは、障害があっても、豊かな内面世界を持っている。相模原事件のような問題も起こりうる社会にあって、人間という存在の奥深さや尊さをいっそう発信していきたいと思います」などとコメントしています。

活動の様子

 

コロナ禍で半年間、都心までバスを無料運行した銀河鉄道

同じく受賞者の山本さんは、バス好きが高じてバス会社を創業したという方です。

印象的な社名は、設立年が1999年だったことから、人気アニメ「銀河鉄道999」にあやかったもの。以来、大手バスが手を付けない地域の路線バスを、行政からの補助金等を受けずに走らせています。

バス会社「銀河鉄道」を経営する山本宏昭さん

 

そんな銀河鉄道は、新型コロナウイルスの感染拡大が恐れられた昨年3月12日から9月11日まで、半年にわたって、東村山駅から東京駅(新宿駅西口経由)まで無料通勤バスを運行しました。

「コロナ禍の中、少しでも不安なく通勤してほしい」と、自社の負担を省みずに取り組んだその無料運行は、多数のメディアで紹介され、大きな感動を呼びました。その運行は、延べ140本以上、延べ乗客数2400人に達しています。

今回の表彰では、「コロナ禍の元、収入も激減したはず。それでも、東京への無料通勤バスを半年間も走らせた山本さんの侠気(おとこぎ)に拍手を贈りたい。コロナ禍で沈む世相の中、一条の光明を見る思いがする」と評価されています。

山本さんは、「亡父は赤穂浪士で有名な播州赤穂の出身。彼らが己を捨てて大義のために尽くしたように、コロナ禍における無料通勤バスも『日本人として当然のこと』と思っていました」とコメントしています。

バス運転席にて

 

 * * *

なお、受賞者には、時計と賞金100万円が贈られるとのことです。

2020/8/17

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