この十数年、毎年出掛けている海水浴場が伊豆にあり、今年も7月に出掛けた。が、空いている。
「人出はこれからですかね?」
毎回世話になる海の家のおばちゃんに尋ねると、「いやぁ、海水浴ブームが終わっちゃったみたいで……」とうつむき加減に言う。その方いわく、体に砂が付くのが敬遠され、海離れが起きているのだという。
「最近の人はキレイ好きだから。それに、暑過ぎて『なるべく出掛けないように』なんてアナウンスされるじゃないですか」
と嘆き節が止まらない。その数日後に南海トラフ地震の臨時情報が出され、さらに台風が追い打ちをかけたので、彼らにとっては惨憺たる夏になったことだろう。
さて、海水浴場絡みではないが、先日、スタッフ旅行で千葉県勝浦市を訪ねてきた。勝浦市は西東京市の友好都市。田無神社本殿の彫刻と、勝浦市の町会で所有している祭り屋台彫刻の作者が彫刻師・島村俊表(江戸時代末期)だという縁だそうで、つながりが深いのか浅いのか何とも判断し難い。
勝浦市というと「涼しい町」として有名だそうで、知らなかったのだが、記録が残る1906年以降、約120年にわたって35度以上の猛暑日がないのだという。水深のある海からの風が町を冷やすのだそうだが、実際に街歩きをすると、相応に暑かった。土地の人も「いやぁ、暑いですよ」と屈託なく言う。「涼しい町」というのはちょっと言い過ぎで、「暑くなりすぎない町」ぐらいが正当なキャッチコピーなのかもしれない。
ところで、私のような中年世代だと、どうしても勝浦といえばホテル三日月を想起してしまう。完全にテレビCМの影響で、移動の車の中では「ホテルみかーづーきー♪」と歌わずにいられなかった。が、次々と口ずさんでも、誰一人まともに音程が取れない。意外に難しいのだ、あの歌。そこで、現代人らしく動画でチェック。フルバージョンを初めて鑑賞し、「旅ゆけば勝浦」と唱和した。
旅のハイライトはやはり朝市。日本三大朝市の一つだそうで、旬の農産物や水産物をゲットした。その過程で、町おこしのユニークな人物を知ったが、簡単にはまとめられないので、別の機会に。
読者へのお土産を物色したが、日持ちがしそうになかったので、地元のJAいすみに連絡を取り、新米を入手することにした。ご応募を。
地域紙「タウン通信」発行人。著書に
『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、
『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、
『起業家という生き方』(同、共著)、
『スポーツで働く』(同、共著)、
『市役所で働く人たち』(同)。商業誌などでも執筆。
2024/9/4
[タウン抄]旅ゆけば勝浦
タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム この十数年、毎年出掛けている海水浴場が伊豆にあり、今年も7月に出掛けた。が、空いている。 「人出はこれからですかね?」 毎回世話になる海の家のおばちゃんに尋ねると、「いやぁ、海水浴ブームが終わっちゃったみたいで……」とうつむき加減に言う。その方いわく、体に砂が付くのが敬遠され、海離れが起きているのだという。 「最近の人はキレイ好きだから。それに、暑過ぎて『なるべく出掛けないように』なんてアナウンスされるじゃないですか」 と嘆き節が止まらない。 ...
ReadMore
2024/9/4
【タウン抄】オリンピック
タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム また今回も始まった。オリンピックでのイケメン探し。我が家の女たちが競技中継を見ては、「おっ、これはイケメン!」「この子はカワイイ~」と、勝敗そっちのけで騒いでいる。 いや、必ずしも勝敗無視というわけでもない。当然ながらイケメン認定をしたほうに肩入れするわけで、同じ技を決めるのでも、イケメンとそうでない(と認定された)選手とで、反応がまるで違う。イケメンのときは大喝采あるいは落胆なのだが、そうでない場合は「ふうん」と、ほとんど一服の時間と化して ...
ReadMore
2024/8/13
【タウン抄】猫ちゃん
タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム 飼い始めてしまった、猫ちゃん。 前に書いたように家族は犬を飼う気でいたのだが、私が承諾せずにぐずぐずしていると、作戦を変えてきた。私は少年期から猫を飼ってきていて、圧倒的に猫派である。知人のもとに数匹が生まれたのが縁となり、この春に茶トラを1匹引き取った。 もともと我家は会話があるほうだとは思うが、猫が来て、さらに賑やかになった。以前、子育てを終えて猫を飼い出した方から「猫ちゃんはいいよ~。夫婦の会話が増えるから」と聞かされてはいたのだが、ま ...
ReadMore
2024/8/13
【タウン抄】郷土愛
タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム 4月に本屋大賞を受賞した『成瀬は天下を取りにいく』。 タイトルと表紙デザインからまったく興味を惹かれなかったが、高2の息子が「国語の先生に薦められた」と面白がっていたので、拝借した。 要は、ちょっと風変りな女の子を描いた作品なのだが、デパートの閉店や地元の祭りが描写されていて、この作品は郷土愛がテーマなのだと感じた。主人公・成瀬の郷土愛が深すぎて面食らう部分もあるが、地域紙を作る身としては好感を抱くことのほうが多かった。 さて、本題。流行では ...
ReadMore
2024/8/13
【タウン抄】本紙について
タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム 3月から試行としてポスティングにて本紙を配布しているのだが、予想以上に「初めて見た」という声が多く、説明の必要を感じている。 本紙「タウン通信」は、西東京市・東久留米市・小平市東部・新座市南部で8万部ほどを、これまでは新聞折込で発行してきた。前身の媒体があり、そこから数えると65年超の歴史がある。週刊の時代もあったが、この数年は月2回発行とし、4ページ構成で地域の話題を届けてきた。 これだけの長期にわたって新聞折込を続けてきたため、ポスティン ...
ReadMore
谷 隆一