「子育てが楽しいと思ってもらえる街にしたい」 ママたちの“第2の実家”を目指す「ウイズアイ」 団体設立者インタビュー

2018年4月20日

清瀬市で活動している子育て支援団体「ウイズアイ」。未就園児の親を対象にしたグループワーク開催による仲間づくりの支援や、24時間体制の緊急一時保育など、子育て中のママたちにとっての“第2の実家”のような存在になることを目指して、さまざまな活動を行なっています。

今回は、同団体を立ち上げた増田恵美さんのインタビューを掲載します。

スタッフとともに。後列右端が、団体設立者の増田恵美さん

 

ママを孤独な密室育児から解放したかった

——2006年に設立したウイズアイは、1995年から増田さんが行っていたボランティア活動が前身となっていますね。新生児訪問が生後2ヵ月までの2回だけということに不足を感じ、「これじゃ、ママたちに満足のいく支援はできない」と、活動をスタートさせたとのことですが……。

「そうです。それと、一人で子育てをするママたちをつなげたかったんですね。

現在、ウイズアイに来るママたちがよく言う言葉でもありますが、『大人と話せて楽しかった』と。

現代の子育てというのは、それだけママが孤独になりがちです。

また、私は保健師として新生児訪問に伺っていたのですが、例えば母乳の悩みを抱えるママに、助産師の方たちのような知識と経験則でアドバイスができないことがジレンマでもありました。

そこで、同じく清瀬市の新生児訪問指導を行っていた助産師の遠藤さんという女性に相談したところ、私の気持ちに共感してくれて。

そうして、公共施設を借りて初めて開いたのが、「おっぱいママ」という母乳推進の会。今でもウイズアイで続いているグループワークの一つです。

 

ママが笑っていれば子どもは幸せになれる

——ウイズアイがNPOになる前に、そこから10年以上もボランティア活動をしていたというのがすごいですよね。活動って、継続することが難しいじゃないですか。

「閉鎖された空間で、コミュニケーションが取れない相手(赤ちゃん)と一緒に過ごすというのは、かわいい我が子といっても想像以上に大変なことです。

私自身、当時は初めての子育てに向き合っていたのですが、岩手から東京に出てきたこともあって、孤独でつらかったんですね。あの思いを、他のママたちにはさせたくないという気持ちもあって。

それに、孤独な子育てによって、ママたちが、いつ虐待に向かってもおかしくないんです。ママのストレスは、子どもにしわ寄せがいってしまう。逆に言えば、ママが笑っていれば、子どもも幸せなんです。

子どもを守るために、まずはママを守っていかないといけない。今も変わらず、そういう思いで活動しています。

あとは、意地のようなものもあったかもしれませんね。私たちがボランティアとしてやっていたようなことは、本来なら行政がやるべきことでしょう、という気持ちもありました。

でもね、ボランティアで、ある意味ゆるい雰囲気の空間だったのが、ママたちに受け入れられた理由かもしれませんね。子育ても真面目なだけじゃダメなんですよ。不良ママになりなさい、なんてことも言っているくらいです(笑)」

 

みんなで教え合う。「分からない」から来る不安をなくす

——市や国としては、なかなか言えない発言ですね(笑)。行政として開くと、どうしても縛りがあり、良くも悪くもきっちりしないといけませんし。

「そうなんですよね。ボランティアというと奉仕活動で大変でしょう、と思われがちですが、とっても楽しい時間でしたよ。

親子みんなで集まって子ども同士を遊ばせたり、ダンスが得意なママがいれば『私が教えるよ!』なんて、ダンス教室を開いたりして。

ママたち一人ひとりが、自分でできることをやってくれていました。

あとは、初めての子育てだと特にそうなんですけど、何もかもがわからないんですよね。そして、わからないから不安になる。

大なり小なり、そういうわからないことを私だったり、会のママだったりに都度聞ける場でもあったんです。

それは、今のウイズアイでも同じ役割を果たせていると思います。

 

活動が細分化している理由

——場をつくるという意味では、ひろば事業やグループワークがその役割を担っていますね。グループワークでは、「新米ママと赤ちゃんの会」「アラフォーママの会」「シングルマザーの会」など、カテゴリーがとても細かく分かれていますが、こんなにも多くの会を開くようになったのは、どうしてなのでしょうか。

いろいろな会を開いている理由は、やはり、一人ひとりのママさんによって、抱える悩みが違うということが大きいんです。最初は「子育て中のママ」という会を開いていたのですが、話を聞いていると、子育て中のママの中の悩みはどんどん細分化していくんですね。

たとえば、パートナーの帰宅が遅いとか、自分がガンと闘病しながら子育てをしているというケースもありました。だったら、「同じ境遇で悩んでいる人と知り合える会を開こう!」と、いろいろなママの会を開くようになったんです。

「3つ子のママの会」「パパが多忙の会」など、いろいろやりましたね。他ではやらないような会が多いのも、ウイズアイの特長の一つだと思います。

 

——同じ悩みを抱える者同士だからこそ、気兼ねなく本音を言えたりするのでしょうね。

「そうなんです。ウイズアイの会は、基本的に全3・4回。というのも、1回会っただけだと、なかなか距離が縮まらないんですね。

会は保育付きなので、うちの保育士が子どもを見て、ママさんたちだけでゆっくりおしゃべりしてもらうことがで目的です。

参加者はママでもありますが、そもそもは一人の人間であることを思い出してもらいたくって」

 

ママサークルの立ち上げが多数

——誰かのママでもありますが、同時に誰かの娘でもあり、誰かの妻(恋人)でもある、と。ウイズアイの会に参加した人たちは、それぞれ自主的にママサークルを立ち上げているというのが驚きました。

「はい、それぞれの会で集まったママさんたちが、そのままサークルという形で定期的に会える環境をつくるのが一つの流れになっています。

ウイズアイのグループワークは、基本的に6回の連続講座になっているのが大きな理由かもしれません。

というのも、1・2回で終わってしまうと、知り合いにはなれても、困った時に助け合えるような信頼関係を築けないんですね。会の最初と最後では、ママたちの雰囲気が全然違うのがおもしろいですよ。

ただ、ウイズアイとしては、ママさんが集まって夫の愚痴を言う場所になってしまっては嫌だな、やはりパートナー仲が良好であってほしいという思いから、夫婦でのペアヨガなど、スキンシップを図れる会も開いています。

グループワークに参加したママさんたちから、年賀状で幸せそうな近況報告などをもらえると、とてもうれしいですね。活動の励みにもなります」

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