主体性が大切

在宅診療NOW

まつばらホームクリニック 松原清二院長のコラム

 

先日、知り合いの先生が大会長を務める縁で、「第8回日本認知症予防医学会」のケアの部門で、日頃の症例を発表する機会をいただきました。

この学会では、全国津々浦々から「認知症と運転との話」「睡眠と認知症との関係」など、大変興味深い話がありました。

その中で実は一番興味深かったのは、豊島区や愛知県武豊町などの認知症予防への取り組みについてです。というのも、両地域とも、市民の方々が主体となって取り組み、成果を出しているというのです。

 

市民がサロンや講座を主宰

武豊町では、市民が主体的に、通いの場であるサロンを運営。65歳以上の参加率は11.7%(厚労省目標値10%)と高く、「将来の楽しみが増えた」などの報告があるとのことです。

また、豊島区では住民の方々が主体的に認知症予防を行うために、有名な太極拳の先生を招聘したりして、積極的に運動をしているそうです。その結果、定年退職直後よりも体力がついているなど、ご高齢の方の明るい見通しの報告が多数ありました。

 

社会参加が心身の状態を向上させる

日頃の診療でも、デイサービスなどで積極的にリハビリをされている方などは生き生きとされている印象を受けています。ご高齢になればなるほど出来なくなることが増えると思いがちですが、一人ひとりの積極的な社会参加は、場合によっては肉体的な成長や気持ちの安定、認知症予防につながります。

私の診療所でも年に数人は在宅医療を卒業され、外来診療に移行されます。その方たちの共通している要因は、「治りたい」「良くしたい」という“主体性”です。

我々はあくまでも医療面での援助者であり、一番大切なのは患者さんの前向きの姿勢を支援することではないかと思いました。

 

プロフィール

松原 清二

在宅療養支援診療所「まつばらホームクリニック」院長。東京医科大学卒業後、複数の病院勤務を経て、2015年5月に同院開院。西東京市を中心に、練馬区・東久留米市・武蔵野市・新座市などの一部地域を訪問診療で回っている。総合内科専門医、循環器内科医。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定医、認知症専門医、認知症サポート医。公式ホームページ:まつばらホームクリニック

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