白内障について

2019年10月16日

街かど診療室

保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム

 

今回は眼科で一番多い疾患の白内障について、よくある質問への私の答えを書き留めます。

まず多い質問は、「薬で治るのでしょうか」ですが、治りません。ゆで卵を生卵に変えられないように、変性したタンパク質は戻せません。

白内障点眼薬は進行を抑える効能はあります。

ただし、一部の白内障では有効ですが、そのほかでは無効のようです。

 

白内障を放置すると…

「放置したら見えなくなりますか」は、見えづらくなって受診される方からよく聞かれます。

進行すると見えづらさはさらに進みます。

 

見えづらさを感じないケース

「白内障と言われましたが見えづらさを感じません」。

白内障の中には透明性を保ちながら水晶体が硬くなってくるものもあります。

一般的に霧がかかったような見え方(霧視)や光が眩しく感じるなどだけが白内障の症状と思っている方は多いですが、見えるけどピントが合わない、片目で二重三重に見える、なども白内障の典型症状です。

視力に不安を感じた時点で眼科受診をお勧めします。

 

他の眼疾もあるのですが…

「他の目の病気がありますが、白内障手術は可能でしょうか」。

その病気によりますが、炎症を伴う病気以外であれば、概ね手術は可能です。

また、緑内障や網膜硝子体に対する手術の際に、白内障手術を併用することは、眼科にとって一般的です。主治医に相談してみてください。

 

若い頃のように見えるようになる?

「白内障手術をすると若い頃の見え方と同じになりますか」。

これは非常に難しい質問です。

人間の高度な水晶体の機能を代用する眼内レンズは発展途上です。シンプルな眼内レンズから、多焦点眼内レンズまで開発は進んでいますが、一長一短で100%の人が満足できるレンズはないです。

現状の見え方の改善は多くの方で可能です。

そのために術前の精密な検査が必要となります。

 

プロフィール

伊藤 勇

「保谷伊藤眼科」院長。大学病院で最先端の眼科医療に携わった後、同院を開業。白内障等の日帰り手術のほか、網膜硝子体疾患手術、緑内障手術、眼科一般診療などを幅広く行っている。公式ホームページ:http://www.itoganka.com/

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