さらに広がる「子ども食堂」  ~地域交流の場に~ 西東京市の事例から

2022年7月5日

西東京市保谷こもれびホール内のカフェラウンジ「はなみずき」で、先月25日、「こども食堂 もぐもぐ」がオープンした。

公共文化施設のカフェが開放される背景には、貧困家庭への支援から広まった「子ども食堂」が、最近では地域交流の場になってきていることなどもある。

同市では、そうした社会的機能に着目し、助成事業も始めている。

 

保谷こもれびホールで「もぐもぐ」開始

オープン日。昼時に訪ねると、店内は活気にあふれていた。

父子、母子、知り合いの家族同士、子ども同士など訪れる人はさまざま。来場者の「子ども食堂というと、もっとこぢんまりとしたイメージだった」という言葉通り、広々とした店内は明るく開放感がある。

ベビーカーで乳児を連れていた女性は「家では泣いてばかりの子どもが、ここではうれしそうにしている。一緒に来られる場所があってありがたいです」と話していた。

この日のメニューはスパゲティナポリタン。ドリンクバーも設置されていた

 

同ホールの指定管理者・㈱JTBコミュニケーションデザインの芦田さんは、今回の取り組みを「公共文化施設として行う地域貢献の一つ」と話す。

「温かいご飯を提供するだけでなく、子どもにとって安心な居場所づくりをする。最初は一人で来ても、だんだん店員や周りの人と仲良くなって、交流の輪が広がっていく。そんな地域の在り方を目指しています」

コロナ禍もあってさまざまな子ども食堂が展開されるなか、公共施設の利点には、「認知度の高さ」と「入りやすさ」もあるという。

ちなみに、料金は高校生以下は無料、保護者は300円。オープンに当たっては「はなみずき」の仕入れ先などが協賛してくれたそうで、「共助の輪があるからこそできること」と芦田さんは強調する。

 

市から助成金も

子どもの健康づくり、食育、居場所、地域交流――。子ども食堂が持つ機能が多彩で重要なことから、最近では、さまざまな基盤整備やつながりが生まれている。

西東京市では、東京都の「子供食堂推進事業補助金」の制度を活用し、今年度から、条件を満たす市内の子ども食堂に対して月額3万円の補助金を交付。5月に開催した子ども食堂連絡会には17団体が出席した。同種の助成事業は、近隣では清瀬市でも取り組まれている。

また、情報告知に公共機関が役立つことも多く、前述の「もぐもぐ」も、オープンに際しては子ども家庭支援センターと連携して、市内の児童館や住吉会館ルピナスなどにチラシを配付した。

さらに、同市では、「西東京市子ども食堂ネットワークハピモグ」の存在もある。

2019年に有志が発足させた同団体には、現在、12団体が参加(「もぐもぐ」も加入予定)。子ども食堂をより身近に感じてもらうことを狙いに、情報発信や物資の共有などを行っている。

同団体では「毎日、市内のどこかの子ども食堂が開いている」ことを直近の目標に掲げている。

なお、同市が把握している市内の子ども食堂は19カ所。ホームページにも情報公開されている(市ホームページ)。

(取材記者・三好圭子)

西東京市子ども食堂ネットワークハピモグ

西東京市 子ども食堂

 

編集部おすすめ

1

屈指のアイデアマン 神山伸一さん 現役課長が隣接市の副市長に――。 小平市職員の神山伸一さん(58)が小金井市副市長に任命されることとなり、「他市からの引き抜きは異例」と話題になっている。 大抜擢の理 ...

2

1975年に誕生した携帯サンドイッチの元祖・フジパン㈱の「スナックサンド」から、3月だけの期間限定で、「東村山黒焼きそば」と「ところざわ醤油焼きそば」が販売されている。 フジパン武蔵工場(入間市)の開 ...

3

3月3日は桃の節句。女の子の健やかな成長を祝うお祭りです。起源は古代中国の「厄祓い」の行事でしたが、日本に伝えられて江戸時代以降、現在のような形になりました。 ・・・と、暦をながめていたら、「ひな祭」 ...

4

全国のハンセン病療養所入所者たちが詠んだ詩が70年の時を経て現代に蘇る――4日から、東村山市にある国立ハンセン病資料館で、企画展「ハンセン病文学の新生面『いのちの芽』の詩人たち」が開かれている。同館に ...

5

ウクライナ出身のリリア・モルスカさんと、大学を通して交流を持った武蔵野大学の岩井雅治さん、菊地里帆子さん、山岸咲亜さんの4人で製作したウクライナを紹介する冊子「ひまわり」50冊が、西東京市に寄贈された ...

6

西東京市保谷こもれびホールの愛称が「タクトホームこもれびGRAFAREホール」に決まった。市が募集したネーミングライツ・パートナーに同市に本社があるタクトホーム㈱が選ばれたもの。GRAFAREは同社が ...

7

行政書士による「SDGs研究会」が発起 昨年1月に小平市で始まった無人の不用品譲渡「Baton BOX(バトンボックス)」が、1周年を経てさらに広がりを見せている。 これは、協力店先などに置かれた小型 ...

8

西東京市向台町の圡方隆一さん・仁美さん夫妻が、このほど、自宅の一部を改築し、「8cho8ma gallery(はっちょうやまギャラリー)」をオープンする。初回の展示会は6日㈮から。「若手作家を応援した ...

9

ウクライナの郷土料理・ボルシチを毎週木曜日にランチで提供――戦時下にある同国から避難してきたトゥロベーツ・エリザベータ(通称・エリザ)さんが、西東京市役所近くの創業サポート施設「リップル西東京」で食堂 ...

10

地元の出荷工場「東京エッグ」 玉子の黄身が濃くて、食欲をそそられる――。 西東京市泉町にある玉子出荷工場「東京エッグ」が敷地内に24時間稼働する玉子の自動販売機=下写真=を設置し、近隣で話題になってい ...

11

12月9日から 最大2000円分のお買物券が当たる!?――東久留米市で、9日㈮から「ブラック・ジャック×東久留米市スクラッチ」が実施される。 市内約290店舗が参加するもので、当たれば買い物券として使 ...

12

大手コンビニエンスストア「ファミリーマート」が行うフードドライブをご存じだろうか? 全国約1900店舗で実施され、この地域でも小平市や東久留米市で取り組まれている。小平市で連携するのはNPO法人「カモ ...

13

多摩六都科学館のプラネタリウムで、19日㈯から来年1月29日㈰まで、全編生解説の「全天88星座―光が語る天球の地図―」が投影される。 地域ゆかりのアーティスト・大小島真木さんが描いた星座絵とともに88 ...

14

小平市で最晩年を過ごし、同市名誉市民でもある巨匠彫刻家・平櫛田中の回顧談が、生誕150年の節目に合わせて発行された。1965年(94歳時)に語った、生い立ちから東京美術学校(現・東京藝術大学)で教えて ...

Copyright© タウン通信 , 2023 All Rights Reserved.