ウクライナ避難者が運営 木曜ランチのみのボルシチの店

ウクライナの郷土料理・ボルシチを毎週木曜日にランチで提供――戦時下にある同国から避難してきたトゥロベーツ・エリザベータ(通称・エリザ)さんが、西東京市役所近くの創業サポート施設「リップル西東京」で食堂「Nadiya」を運営している。地域の人と交流を深めたいと、24日㈯にはクリスマスパーティーも開く。

 

キーウ出身のエリザさん

ウクライナ語で「希望」を意味する同店を営むのは、4月にキーウから単身逃れてきたエリザさん(30)。日本での身元保証人となった西東京市在住の別當紀人さんと、友人の新井芽句さんが中心になって、その運営をサポートしている。

提供する料理は、同国伝統料理のビーツを用いたボルシチ。一部の野菜は西東京市内の農家から仕入れている。Sサイズ560円、Mサイズ710円、Lサイズ860円(いずれも税込み)。さわやかな酸味のある優しい味わいで、具だくさんで食べ応えがある。手作りのパンとウクライナ産ハチミツ入りの紅茶をセットにするとプラス240円。午前11時から午後2時まで提供しており、テイクアウトも可能。売り切れ次第終了となる。

西東京市に避難してきたエリザさん(中央)と支援する別當紀人さん(右)、新井芽句さん

 

エリザさんが日本に避難してくることになったのは、別當さんとの縁。10年ほど前に同国を旅行で訪ねた別當さんを、大学で日本語や日本文化を学んでいたエリザさんが町案内したことが出会いとなった。その後、交流が途絶える時期もあったが、ロシアによる侵攻に胸を痛めて別當さんが連絡を取ったところ、エリザさんはちょうど隣国ポーランドに避難したところだった。その先の行く当てがなかったことから、「日本に来るなら身元保証人になるよ」と別當さんが申し出、同市に来ることとなった。市が把握している避難者は今のところエリザさんだけという。

市では、住宅の確保や、日本語教室の紹介などの多面的な支援を行っており、先月には池澤隆史市長も同店を訪れ、エリザさんを励ました。そうした支援や地域に対し、エリザさんは感謝の言葉を口にする。

「緑が多く落ち着いた町で、とても住みやすく、親切な方ばかり。出会った全ての人に心から感謝を伝えたいです」

この食堂は地域の人たちとの交流の場になっているとのことで、今もキーウにいる母・祖母を思いながらも、「職業に就いて、自分で家賃を払えるようにもなりたい」と長く暮らす意向も示している。

テイクアウトのボルシチとパン

 

24日、クリスマスパーティー

より広い交流を求め、24日㈯午前11時30分から午後2時まで、クリスマスパーティーを開く。会場はシェアスペース・キッチン「PARKSIDE LABO」(東伏見1の14の6)。支援者の一人でルーマニア料理研究家のスクタリウともこさんと共に、ウクライナ、ルーマニアの料理を提供する。歌などあり。3500円(高大生2000円、中学生以下無料 ※一部をウクライナに寄付予定)。

詳しくはスクタリウさん(☎080・4169・7377)へ。

PARKSIDE LABO (Facebook)

リップル西東京

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