不動産からできるまちづくりを考えるこのシリーズ。今回は、精神障がい者のためのグループハウスを紹介します。
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「誰もが暮らしやすい町」と言うのは簡単ですが、実現は容易ではありません。
「住まい」一つとっても、さまざまな偏見で入居先を見つけられない人が、実は珍しくない実情があります。
その代表例が、精神障がい者です。
ニーズは高いが、物件提供者は希少
精神障がい者の場合、発症の原因が家族との関係にあることも少なくなく、一人暮らしのニーズは高いといいます。
ところが、安心して一人暮らしができるはずのグループホームは、常に満室状態で需要と供給のバランスが取れていません。
理由は明確で、物件所有者の賛同が得にくいためです。
物件所有者が嫌がる理由は単純。
「トラブルが起こるに決まっている」「何かあったらどうするの?」「あまり関わりたくない」――。
ところが、グループホーム展開をサポートする不動産会社「ERA LIXIL不動産ショップ・三成産業」の清水二郎さんは、「実情を知れば、考えは変わるはず」と目線を変える必要性を訴えています。
過度な心配は無用
「まず認識してほしいのは、精神障がい者以外の人でもトラブルを起こす可能性はあるということ。
次に、グループホームでは、彼らを毎朝晩にケアしています。異変があれば早期に対応できる。
きちんとケアされた人と、表には見えないトラブルを抱えている人なら、どちらのリスクが高いかは言うまでもありません」
と清水さんは話します。
また、特に危ういのはグループホームに入れずに病を隠す精神障がい者がいることで、清水さんは「グループホームが増えることで、個人も社会も安心して暮らせるようになる」と指摘します。
物件活用で社会貢献
そのように話す清水さんは、これまで4つのグループホームを手がけてきました。
大型一軒家をリフォームしたケース、新築、中古アパートの再利用など、手法はさまざま。まさに、不動産の側面から、暮らしやすい町づくりに寄与しています。
「物件の活用法はさまざま。社会に役立ちたいという方には、ぜひご相談いただきたいです」
と話しています。