全国でも異例の大抜擢 小平市職員が小金井市副市長に

屈指のアイデアマン 神山伸一さん

現役課長が隣接市の副市長に――。
小平市職員の神山伸一さん(58)が小金井市副市長に任命されることとなり、「他市からの引き抜きは異例」と話題になっている。
大抜擢の理由は何なのか。本人を直撃した。

神山伸一さん。小平市役所の前で

 

先月20日に小金井市議会で副市長任命を承認されたのは、現在、小平市環境政策課で課長を務める神山さん。1988年に同市に入庁し、公園緑地課、教育庶務課、産業振興課、さらに多摩六都科学館組合や(公財)小平市文化振興財団などで計35年にわたり市政に従事してきた。

ただ、経歴そのものはほかの職員たちとさほど変わらない。では、神山さんの何が抜擢につながったのだろうか――。

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実はそれらは、ちょっと調べただけですぐに見えてきた。

ブルーベリー栽培発祥の地、マスコットキャラクター「ぶるべー」、丸いポストのまち、吹奏楽のまち、プチ田舎、地域宣伝隊コダレンジャー、オープンガーデン――。

これらは全て、神山さんが企画発案し、実現してきた地域活性化事業だ(一部は企画のみ)。現在の環境政策課では、第三次環境基本計画を策定するに当たり、同市として初めて、説明のための動画配信も手掛けた。慣例に縛られず、自由な発想で次々と仕掛けていくのが神山さんの仕事術だ。

「産業振興課で観光を担当したというのもあり、どう発信すれば広まりやすいのかを意識してきました。文化振興財団で『吹奏楽のまち』をアピールしたときには、航空自衛隊のほうから『演奏させてほしい』と電話が来て手応えを感じたこともありますね」

と神山さんは振り返る。

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そのエネルギッシュな姿勢は、庁内での仕事だけにとどまらない。「勤務時間外」の活動として、子ども食堂を行うNPO法人「カモミール」の理事や、FMラジオ「TOKYO854くるめラ」での情報番組「ほくほくラジオ」(第2金曜・午後8時~)のパーソナリティ、小平市職員の自主学習グループ「K―up」の幹事、多摩26市の職員の交流会の実施などを多彩に行っている。さらに、自治体職員の研修の講師を務めることもある。加えていえば、市職員のバレーボールチームでは部長だ。

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そんな神山さんに小金井市副市長就任の提案があったのは、今年1月初旬のこと。10年ほど前から勉強会を通じてつながりがあった小金井市の白井亨市長から食事に誘われ、何の前触れもなく切り出された。

「最初はびっくりしすぎて何を言われているのか分かりませんでした」

と神山さん。

「生まれも育ちも小平市。ここが大好きで、離れるなんて考えたこともなかった」と迷いに迷ったが、「こんなオファーを頂くことはもうないかもしれない。経験を生かしてチャレンジしてみたい」と決断した。

「まちづくりでよく言われる『よそ者・若者・ばか者』の中のよそ者として、新しい風を吹かせられれば。小金井市は市民活動が盛んなので、市民とつながり、良いまちを作っていきたいですね」

そう張り切る神山さんは、今月末まで小平市に在籍し、4月1日から小金井市副市長となる。

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さて、これは小平市にとって良い話なのか否か。

一部からは「小平市にとっては損失」の声も聞こえてくる。しかし、小金井市との交流機会が増え、事業連携等による行政サービス向上に期待ができるのも事実だ。何より、引き抜かれるような職員がいたことは地域の誇りだろう。

ちなみに、当の神山さん自身は、「若手職員が育っているので、安心してバトンタッチできる」との見解。職員によるバレーボール部は無理として、そのほかの地域活動については「今後も継続していきたい」との意向を示している。

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