「丸いポストのある風景」写真展  ルネこだいらで

都内の自治体で最も丸いポストが多いことから「丸ポストの町」を標榜する小平市で、写真作品展「丸いポストのある風景」が開かれています。

昨秋に実施したフォトコンテストに集まった546点のうちから、入賞作12点と、入選作89点を展示紹介しています。

金賞作品は後藤美香さんの作品「昭和の時代の思い出の中で」。

「昭和の時代の思い出の中で」(後藤美香さん撮影)

 

香川県高松市で撮影したという1枚は、石原裕次郎主演映画「嵐を呼ぶ男」の看板やコーワのキャラクターでおなじみ「ケロちゃん・コロちゃん」など、「昭和」の雰囲気がたっぷり。
そんな目で見るせいか、遅めのシャッターで動きを流した2人の女性が、不思議と昭和の頃の姿に見えてきます。あえて人物の細部を見せないところに撮影者の狙いを感じます。女性が笑顔なのもいいですね。

構図としては、石原裕次郎の赤い服と丸ポストの赤が対角線上で配置されているのが絶妙です。一見、右上の裕次郎に目が行く写真ですが、実は丸ポストのどっしりした存在感があって、写真としての安定感が生まれています。
まさに、「丸ポストのある風景」を切り取った一作といえます。

 * * *

銀賞は糸賀一典さんによる「赤瓦と待ち合わせ場所」。
こちらは島根県大田市にある石見銀山大森郵便局前での撮影です。

「赤瓦と待ち合わせ場所」(糸賀一典さん撮影)

 

見る者を驚かせる写真ならではのモチーフと構図で、丸ポストの朱色が際立っています。
「待ち合わせ場所」というタイトル通り、人が数人写っているのも温かみを感じさせて好印象です。丸ポストが人々の身近にあることを感じさせ、企画テーマに合致しています。

撮影者にとって不運だったのは、中央下側のパイロンでしょう。
一直線上にあるため、これはこれで美しい写真になっていますが、この2か所の朱色はなかったほうが丸ポストの朱色が際立ったように思われます。

 * * *

同じく銀賞のもう1作は、小池基夫さん撮影の「東京駅内ポスト」。
タイトル通り、撮影場所は東京駅構内です。

「東京駅内ポスト」(小池基夫さん撮影)

 

魚眼レンズないし超広角レンズを使用した作品と思われますが、見慣れない光景を見せてくれるのは写真作品ならではです。手前左側の柱の大迫力と右隅に配置された丸ポストが、構図として絶妙なバランスを取っています。

近未来のような光景の中で、丸ポストの懐かしのフォルムがあるというのがユニークですね。

コロナ禍の影響によるものと思われますが、こんなに閑散とした東京駅の風景はめったにないのかもしれません。「今」を切り取るという意味でも、価値ある1枚です。

 * * *

最後に紹介したいのは、小平丸ポスト賞に選ばれた、荻野有希さん撮影の「ぼくは名カメラマン」。

「ぼくは名カメラマン」(荻野有希さん撮影)

 

市民に気軽な応募を求めたこの企画にふさわしい1枚です。「ベストショットを!」と狙う子どもの姿がほほえましいですね。

北多摩エリアの方々にはおなじみですが、撮影場所は、小平市ルネこだいら。今回の写真展が実施されている会場です。

ルネこだいら前には、「丸ポストの町」のシンボルとして、日本一高い丸ポストが設置されています。

なお、会期は3月31日(水)まで(1月25日・26日、2月24日・25日、3月15日・16日は休館)。

会場は小平市ルネこだいら。

入場無料。

詳細は小平市ルネこだいら(公式サイト)

 ◎小平市ルネこだいら

2017/12/6

都内No.1! 懐かしかわいい「小平の丸ポスト」

「小平ふるさと村」の入り口に、昔懐かしい丸ポストがあるのをご存知ですか? 実は、小平は、東京都内の自治体では、最も多くの丸ポストがある町なんです。 その数、実に37本(※使用できる丸ポストの数は32本)。23区内には丸ポストが5本しかないことを考えると、その多さがわかります。 現在普及している四角いポストが登場したのは、1970年。郵便物を貯める中袋を交換するだけで収集ができる四角いポストに対して、小さな取り出し口から少しずつ郵便物を取り出さなければならない丸ポストは、「手間が掛かる」との理由で、置き換え ...

ReadMore

2021/1/15

「小平の四季と市民のくらし」テーマに写真募集

小平市の魅力を捉えた写真を選ぶ「ルネフォトコンテスト」で、作品が募集されています。 応募締切は1月31日まで。 前回の金賞作品(「早朝の宮出し」 撮影者:齋藤 力さん)   作品テーマは「小平の四季と市民のくらし」。誰でも応募ができますが、撮影場所は小平市内限定になります。また、2020年1月1日以降の撮影作品に限られます。 今回が27回目となる作品展。 金賞は3万円、銀賞は2万円など賞金も用意されています。 応募の詳細は公式ホームページご参照を。  ◎小平市ルネこだいら(小平市文化振興財団、応 ...

ReadMore

2020/11/16

小平市の見どころ10選

小平市の見どころをピックアップ。 「10選」としましたが、小平市は実は見どころの多い地域。選ぶのに苦労しました。 小平市は「プチ田舎」を標榜し、“都心から最も近い観光地”として地域をアピールしています。市域には11もの駅があり(隣接駅を含む)、交通の便が良いのも魅力です。 「もっと良いところがあるよー」の声も聞こえてきそうですが、編集部視点の10選を以下にご紹介します!   開拓の歴史を今に伝える 「玉川上水・用水路」 10選といいながら、いきなり「玉川上水」と「用水路」の2つの要素を入れてしま ...

ReadMore

編集部おすすめ

1

1年の折り返し点を迎える6月は、陽の気が頂点に達して、暦の上では夏の盛り。21日には二十四節気の夏至があって、1年中で昼が最も長いころです。そうして、この日をすぎるとしだいに陰の気が入りこんできて、少 ...

2

西東京市東伏見を中心に南関東最大規模で広がる縄文時代の集落遺跡「下野谷遺跡」(国指定史跡)で、当時の暮らしを思わせる竪穴式住居と土器だまりが完成した。  同市では、縄文時代の風景を再現するような里山の ...

3

屈指のアイデアマン 神山伸一さん 現役課長が隣接市の副市長に――。 小平市職員の神山伸一さん(58)が小金井市副市長に任命されることとなり、「他市からの引き抜きは異例」と話題になっている。 大抜擢の理 ...

4

全国のハンセン病療養所入所者たちが詠んだ詩が70年の時を経て現代に蘇る――4日から、東村山市にある国立ハンセン病資料館で、企画展「ハンセン病文学の新生面『いのちの芽』の詩人たち」が開かれている。同館に ...

5

ウクライナ出身のリリア・モルスカさんと、大学を通して交流を持った武蔵野大学の岩井雅治さん、菊地里帆子さん、山岸咲亜さんの4人で製作したウクライナを紹介する冊子「ひまわり」50冊が、西東京市に寄贈された ...

6

西東京市保谷こもれびホールの愛称が「タクトホームこもれびGRAFAREホール」に決まった。市が募集したネーミングライツ・パートナーに同市に本社があるタクトホーム㈱が選ばれたもの。GRAFAREは同社が ...

7

行政書士による「SDGs研究会」が発起 昨年1月に小平市で始まった無人の不用品譲渡「Baton BOX(バトンボックス)」が、1周年を経てさらに広がりを見せている。 これは、協力店先などに置かれた小型 ...

8

西東京市向台町の圡方隆一さん・仁美さん夫妻が、このほど、自宅の一部を改築し、「8cho8ma gallery(はっちょうやまギャラリー)」をオープンする。初回の展示会は6日㈮から。「若手作家を応援した ...

9

ウクライナの郷土料理・ボルシチを毎週木曜日にランチで提供――戦時下にある同国から避難してきたトゥロベーツ・エリザベータ(通称・エリザ)さんが、西東京市役所近くの創業サポート施設「リップル西東京」で食堂 ...

10

地元の出荷工場「東京エッグ」 玉子の黄身が濃くて、食欲をそそられる――。 西東京市泉町にある玉子出荷工場「東京エッグ」が敷地内に24時間稼働する玉子の自動販売機=下写真=を設置し、近隣で話題になってい ...

11

12月9日から 最大2000円分のお買物券が当たる!?――東久留米市で、9日㈮から「ブラック・ジャック×東久留米市スクラッチ」が実施される。 市内約290店舗が参加するもので、当たれば買い物券として使 ...

12

大手コンビニエンスストア「ファミリーマート」が行うフードドライブをご存じだろうか? 全国約1900店舗で実施され、この地域でも小平市や東久留米市で取り組まれている。小平市で連携するのはNPO法人「カモ ...

13

多摩六都科学館のプラネタリウムで、19日㈯から来年1月29日㈰まで、全編生解説の「全天88星座―光が語る天球の地図―」が投影される。 地域ゆかりのアーティスト・大小島真木さんが描いた星座絵とともに88 ...

14

小平市で最晩年を過ごし、同市名誉市民でもある巨匠彫刻家・平櫛田中の回顧談が、生誕150年の節目に合わせて発行された。1965年(94歳時)に語った、生い立ちから東京美術学校(現・東京藝術大学)で教えて ...

Copyright© タウン通信 , 2023 All Rights Reserved.