人口減や「コロナ」による価値観の変化により、空家問題などが加速しています。
そんななか、ひばりヶ丘駅前の「ERA LIXIL 不動産ショップ・三成産業」では、「社会的に意義のある形で土地を活用し、土地・物件所有者にも入居者にも喜ばれています。
その活動から見えてくるのは、「住まいからできる地域づくり」です。数回にわたってレポートします。
「これからの町は、利便性だけではやっていけなくなる」
「コロナ禍で地域への見方や関心が変わってきています。テレワークが増える一方、首都圏を去る人も出ており、これからの町は都心に近いという利便性だけではやっていけなくなるでしょう」
そう指摘するのは、ひばりヶ丘駅前「ERA LIXIL不動産ショップ」の清水二郎さんです。
賃貸・売買・管理と多彩に不動産を手がける清水さんは、「不動産からできるまちづくり」を数年前から意識してきています。それが今、このコロナ禍でよりニーズが増した格好となっています。
では、同社が行う「不動産からのまちづくり」とは何なのでしょうか?
それは開発とは一線を画した、社会福祉的な要素を強く持っています。その一例は、先日、タウン通信で記事掲載したので、ご覧いただいた方もいらっしゃるでしょう(「見守りのある障がい者の自立支援に不動産とNPOが連携」)。
精神障がい者向けに好条件の物件を提供
改めてその内容を振り返りましょう。
その記事では、同社とNPO法人「友訪」が連携して精神障がい者のためのグループホームを運営していることをお伝えしました。
同社の役割は、管理物件をグループホーム用に提供すること。物件の賃貸契約は不動産会社としては当然の仕事に思えますが、実はこれは勇気のいる決断です。
というのも、精神障がい者が入居していると分かるアパート等へは、偏見や差別心から、特に隣室を筆頭に入居率が下がる現実があるからです。
その記事では伏せましたが、実は取材したこのグループホームは、ひばりヶ丘駅から徒歩5分ほどの好立地にあります。
現状、多くのグループホームは、「立地が悪くて入居者が決まらない」「NPO理事者などの所有物件」といった状況で運営されています。
つまり、精神障がい者への住居提供は、苦肉の策か篤志家によるもの、というケースが大半となっているわけです。
そうしたなかだからこそ、好条件の物件が地域密着の不動産会社から提供されるのは珍しいのです。
増える障がい者 10年で100万人増加
では、なぜ同社はそうした提供を行っているのでしょうか?
その問いを清水さんは「住宅を探している人に住まいをお貸しするのは不動産会社として当然のこと」と自然体で話します。
「地域の中で暮らしている人を選別するのはおかしなこと。彼らの住まいが不足しているのでサポートしているが、それはあくまでも業務の一つ。何も特別視はしていません」
清水さんの真意を知るには、地域の現状を確認する必要があります。
全国のデータになりますが、内閣府の公表では、国民の7.6%が何らかの障がいを持っています。精神障がい者に限定すると、10年で100万人以上増えており、人口1000人当たり換算では33人です。
例えばこれを同社のある西東京市に当てはめると、精神障がい者は市内に6931人いることになります。
これに対し、同市内のグループホームの数は29ユニット(約200人分)のみ。
全員が独居を望むわけではないが、住居不足は明らかです。
こうした状況の中、清水さんは大家・所有者にこう訴えています。
「物件や土地をさまざまに活用できることを知れば、選択肢は増えます。ぜひ、空家などを抱えずにぜひ相談してほしいです」
[ERA LIXIL不動産ショップ・三成産業]
0120-306-997
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見守りのある障がい者の自立支援に不動産とNPOが連携
障がい者の多くが、住む場所がなくて困っている――。 そんな状況に対し、西東京市で珍しい協働が続いています。 NPO法人と不動産会社が連携してグループホームを増やすというもので、地域密着が求められるコロ ...