不動産からできるまちづくりを考えるこのシリーズ。今回は、高齢者見守りシステムに注目する。
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団塊の世代が後期高齢者になる「2025年問題」については以前もこの欄で触れた。国民の5人に1人が75歳以上になると推計され、医療・介護、財政、生産性などでさまざまな問題が生じると見られている。
「住宅」も無視できない問題の一つだ。たとえ持ち家であっても、高齢者が――特に一人暮らしでは、住まいを維持していくのは容易ではない。そうしたことを見越して、一戸建てを売却し、管理のしやすいマンションに移る高齢者も少なくない。
ネット閲覧1位
そうした状況のなかで、今、需要が高まっているのが「高齢者見守りシステム」だ。
その関心の高さについて、ひばりヶ丘駅そばの「ERA LIXIL 不動産ショップ・三成産業」の清水二郎さんは、同社の実例をもとにこう話す。
「当社のホームページでは、この半年ほど、常に『高齢者見守りシステム導入可能物件』がアクセス1位です。『ペット可』や『駅まで10分』よりも数倍のアクセスがあり、ニーズの切実さを感じます」
大家さんにチャンス
高齢者見守りシステムにはさまざまな種類があり、IT技術を駆使するものや、毎日の電話で確認するものなど、費用や状況によって取捨選択していける。詳しくは、取り扱いに慣れている同社のようなプロに相談するといいだろう。
サービスについてはともかくとして、ここではもう一つ、触れたいことがある。不動産オーナーへの助言だ。
「裏を返せば、高齢者への安心感を提供できれば、不動産物件の空室率を減らしていけるということです。これまでは高齢者を敬遠する大家さんが多かったのですが、シニア人口が増えるなか、見守りシステムを活用すれば所有物件は有効に働いてくれるでしょう」
と清水さんは強調する。同社では賃貸、売買ともに戸建て・集合住宅を問わずアドバイスしているので、所有物件があるなら、気軽に相談してみては?