無料学習指導 「稲門寺子屋西東京」が今年も生徒募集

2020年2月18日

募集を前にスペシャルインタビュー 「寺子屋」で学んだ青年に本音を聞いた

小中学生を対象に無料で学習指導を続けているNPO法人「稲門寺子屋西東京」(寺子屋)が、4月からの生徒を募集し始めます。それを前に本紙では、実際に「寺子屋」で学んで高校に入学したという向里武蔵さんから話を聞きました。生徒から見た「寺子屋」とは――。       

(※インタビューでは敬称略)

「稲門寺子屋西東京」で学び、第一志望校に合格したという向里武蔵さん

 

「寺子屋」は、経済的理由などで塾に通えない小学5・6年生、中学生を対象に無料学習指導を行っています。活動目的は「経済格差による教育格差を生まない」というものです。家庭の事情が背景にあるだけに当事者へのインタビューには心配もありましたが、向里さんは「まったく問題ありません」と快諾してくれました。

  * * *

向里「母子家庭です。塾には行けないものと思っていましたが、母が寺子屋を見つけて、中学1年生から3年間通わせてくれました。

途中で他市に引っ越したのですが、最後まで寺子屋が受け入れてくれたので、自信を持って受験に臨めました。

第一志望の都立立川高校に入れて、今は充実した高校生活を送っています」

 

   ◆

 

そう話す向里さんは、寺子屋では数学と英語の2教科を選択し、週に2回通っていたそうです。その授業をどう受け止めていたのでしょうか?

 * * *

向里「先生一人に対して生徒は1人か2人という授業だったので、分からないところがすぐに聞けて、短時間で集中して学べたと思います。

ぼくにとって大きな体験だったのは、英語の先生がぼくのためだけに特別のテキストを作ってくれたこと。中学1年生の夏ごろだったのですが、つまずき始めていたところを立て直すことができ、逆に、英語が得意科目になりました。

今でも英語は好きで、得意です」  

 

   ◆

 

インタビューには指導者の竹森英次さんも同席してくれました。向里さんのコメントについて、こう補足してくれました。

 * * *

竹森「一人ひとりに目が届くので、『ここをしっかりやらないといけないな』というときに、じっくりと取り組めるのです。

寺子屋では受験指導はしないので、先を急いだり、難題に取り組んだりということは基本的にしません。

私たちが重視しているのは、子どもたちが自分で学ぶ力を身に付けることです。つまり、学習習慣ですね。

それには、勉強が嫌いになってはいけません。『分かる』ということの喜び、楽しさを教えたいと思っています」

 

   ◆

 

そうはいっても、公立校の中学生なら高校受験は避けられないものです。「寺子屋」への不安感はなかったのでしょうか?

 * * *

向里「全国模試などを自分で受けに行っていたので自分の学力は把握できていましたし、過去問などは入手できるので、焦るということはまったくありませんでした。

むしろ、受験前に先生方が応援してくれて、力になりました」

 

   ◆

 

そんな向里さんは、勉強以外の教えにも感謝を口にします。特に、指導者の何げない世間話が刺激になったようです。

 * * *

向里「先生たちはみんな社会経験が豊富で、中には海外駐在をされた方もいらっしゃいました。

海外での話などはとても興味深く、『自分ももっと勉強して、外国にも行ってみたい』とモチベーションにもなりました。

これから通う人たちには、どんどん先生たちと話をしてみて、と伝えたいです」

 

  ++++++++

 

緊張ぎみだった向里さんもだんたんと打ちとけ、インタビュー後は竹森さんと久しぶりの再会に話を弾ませていました。

指導者の竹森さんと並んで

説明会を開催

保護者と生徒への説明会・面談が3月14日と15日に、西東京市田無総合福祉センターで開かれます(1階ロビー集合)。

午前9時30分と10時50分から。なお、各公民館に募集チラシが置かれています。

詳しくは理事長・金子さん(080・4125・1038)へ。

 

 

寄付の呼びかけも

「寺子屋」では、寄付を募っています。

ボランティア活動ではありますが、教材費・講師の交通費・授業を行う公共施設の利用など運営負担は大きいそうです。

「無料指導を続けるには寄付に頼るしかありません。『地域の子どもたちをみんなで育てよう』というお気持ちでご賛同いただけると幸いです」と事務局長の高木さんは話します。

銀行振込の場合は左記(三井住友銀行/田無支店/普通/4114594/特定非営利活動法人「稲門寺子屋西東京」)へ。 寄付の詳細は同会ホームページにも記載しています。

稲門寺子屋西東京 https://www.terakoya-nt.org/

編集部おすすめ

1

屈指のアイデアマン 神山伸一さん 現役課長が隣接市の副市長に――。 小平市職員の神山伸一さん(58)が小金井市副市長に任命されることとなり、「他市からの引き抜きは異例」と話題になっている。 大抜擢の理 ...

2

1975年に誕生した携帯サンドイッチの元祖・フジパン㈱の「スナックサンド」から、3月だけの期間限定で、「東村山黒焼きそば」と「ところざわ醤油焼きそば」が販売されている。 フジパン武蔵工場(入間市)の開 ...

3

3月3日は桃の節句。女の子の健やかな成長を祝うお祭りです。起源は古代中国の「厄祓い」の行事でしたが、日本に伝えられて江戸時代以降、現在のような形になりました。 ・・・と、暦をながめていたら、「ひな祭」 ...

4

全国のハンセン病療養所入所者たちが詠んだ詩が70年の時を経て現代に蘇る――4日から、東村山市にある国立ハンセン病資料館で、企画展「ハンセン病文学の新生面『いのちの芽』の詩人たち」が開かれている。同館に ...

5

ウクライナ出身のリリア・モルスカさんと、大学を通して交流を持った武蔵野大学の岩井雅治さん、菊地里帆子さん、山岸咲亜さんの4人で製作したウクライナを紹介する冊子「ひまわり」50冊が、西東京市に寄贈された ...

6

西東京市保谷こもれびホールの愛称が「タクトホームこもれびGRAFAREホール」に決まった。市が募集したネーミングライツ・パートナーに同市に本社があるタクトホーム㈱が選ばれたもの。GRAFAREは同社が ...

7

行政書士による「SDGs研究会」が発起 昨年1月に小平市で始まった無人の不用品譲渡「Baton BOX(バトンボックス)」が、1周年を経てさらに広がりを見せている。 これは、協力店先などに置かれた小型 ...

8

西東京市向台町の圡方隆一さん・仁美さん夫妻が、このほど、自宅の一部を改築し、「8cho8ma gallery(はっちょうやまギャラリー)」をオープンする。初回の展示会は6日㈮から。「若手作家を応援した ...

9

ウクライナの郷土料理・ボルシチを毎週木曜日にランチで提供――戦時下にある同国から避難してきたトゥロベーツ・エリザベータ(通称・エリザ)さんが、西東京市役所近くの創業サポート施設「リップル西東京」で食堂 ...

10

地元の出荷工場「東京エッグ」 玉子の黄身が濃くて、食欲をそそられる――。 西東京市泉町にある玉子出荷工場「東京エッグ」が敷地内に24時間稼働する玉子の自動販売機=下写真=を設置し、近隣で話題になってい ...

11

12月9日から 最大2000円分のお買物券が当たる!?――東久留米市で、9日㈮から「ブラック・ジャック×東久留米市スクラッチ」が実施される。 市内約290店舗が参加するもので、当たれば買い物券として使 ...

12

大手コンビニエンスストア「ファミリーマート」が行うフードドライブをご存じだろうか? 全国約1900店舗で実施され、この地域でも小平市や東久留米市で取り組まれている。小平市で連携するのはNPO法人「カモ ...

13

多摩六都科学館のプラネタリウムで、19日㈯から来年1月29日㈰まで、全編生解説の「全天88星座―光が語る天球の地図―」が投影される。 地域ゆかりのアーティスト・大小島真木さんが描いた星座絵とともに88 ...

14

小平市で最晩年を過ごし、同市名誉市民でもある巨匠彫刻家・平櫛田中の回顧談が、生誕150年の節目に合わせて発行された。1965年(94歳時)に語った、生い立ちから東京美術学校(現・東京藝術大学)で教えて ...

Copyright© タウン通信 , 2023 All Rights Reserved.