新型コロナウイルス感染拡大の緊急事態宣言を受け、この号(地域紙「タウン通信」2020年4月15日号)を出すべきかどうか本当に迷った。
ご承知の通り、本紙は広告が収入源であり、情報の多くが「人を集めてナンボ」という類いのもの。「人との接触を7、8割減らそう」と社会全体で頑張っているなかで、アクションを促そうという本紙の在り方は、根本からして今の社会状況に反している。
当然ながら、広告のキャンセルは続いており、付け加えていえば、この号もほぼ経費分しか生み出せていない。
それでも発行に踏み切ったのは、「やっていることを知らせたい」という地域の人たちがいたから。例えば2面に掲載のエネスパート・橋本社長は「ガストラブルは突然起こる。万一のときに声を掛けてもらえれば」と、寄稿してくださった。感染しないと保証できるわけではないが、今号では、すべての業者に対策をしているかを確認したうえで、掲載している。
もっとも、それでも発行自体への批判はあるだろう。私としては、当面休刊するにしても、一言、状況をお伝えしてから、という思いもあった。次号は5月6日号を予定しているが、見送ることも視野に入れている。
なお、コロナがらみで1面を作ることも考えたが、あえて、市民の力や温もりを感じるトピックを選択した。
(2020年4月15日号・本紙掲載分から転載)
株式会社タウン通信代表取締役。地域紙「タウン通信」を多摩北部で約10万部発行、ウェブサイトでも地域情報を発信する。著書に
『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、
『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、
『起業家という生き方』(同、共著)、
『スポーツで働く』(同、共著)、
『市役所で働く人たち』(同)がある。
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谷 隆一