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市民活動は、「暮らし」そのもの。
世のため人のためではないけど、私たちの町をより住みやすくしたい。

NPO法人 小平市民活動ネットワーク
理事長 長瀬廣文さん(左)
理事・センター長 福井正徳さん(中央)
理事・副センター長 馬場悦子さん(右)

2010年4月取材

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プロフィール

NPO法人 小平市民活動ネットワーク(こだいらしみんかつどうねっとわーく)
小平市市民活動支援センター指定管理者。ニューズレター「連(れん)」の発行、小平市発行のボランティア・市民活動情報紙「おむすび」の制作など。2003年11月結成。市民活動に必要な情報の発信や、活動団体のネットワークづくりを目的としている。同センターの運営には、19人が参加。
NPO法人 小平市民活動ネットワークHP

さる4月1日にオープンした小平市市民活動支援センター(小川東町4丁目)。同市における市民活動の拠点として、活動団体にスペースや情報提供をしている。同センターの管理運営をするNPO法人小平市民活動ネットワーク理事長の長瀬廣文さん、センター長の福井正徳さん、副センター長の馬場悦子さんらは、「市民活動は暮らしそのもの。活動が活発になると、町も人も元気になるんです」と市民活動の意義を話す。

「市民活動の拠点を担います」

 ――まず、小平市民活動支援センターの地域における役割を教えてください。

 馬場「小平市における市民活動の拠点として、活動団体に活動状の支援をすることです。小平市には、当センターで把握しているだけでも195の市民活動グループがあります。しかし、活動資金などの関係で、どの団体も事務所となる場所を持っているわけではないんですね。
 そういう団体に打ち合わせのスペース、パソコン、コピー機など環境や機能を提供するほか、これから市民活動を始めようとしている人に対して市民団体の情報提供をしています。あとは、市民活動の活性化を働きかけることですね」

 ――オープンしたばかりですが、意気込みをお聞かせください。

 馬場「指定管理者である3年のうちにどれだけのことをやっていけるか。センターのある萩山は決して立地条件が良いとは言えませんが、それを感じさせない働きをしていきます」

 福井「行政ではなく、市民主導ならではの「オープン」さで、市民活動の拠点として機能を充実させていきたいですね。皆さんの活動が活発化するきっかけになれれば」

 長瀬「自分たちの仲間内に留まらず、外に向かって広がっていきたいです。老若男女問わず、いろいろな団体に参加してほしいですね」

住みやすい町へ。
その活動の拠点になる。

 ――市民活動と言っても、縁のない人が大半ですよね。また、興味を持っていても一歩踏み出せない人は少なくないと思いますが。

 馬場「市民活動と聞くと敬遠してしまう人もいるかもしれませんが、人の暮らしの全てが市民活動だと思っています。私はゴミ問題について活動していますが、ゴミを出さない人っていないですよね? 市民活動にまったく関係のない人なんて、いないんです。
 起きてから寝るまでの暮らしの中に、いろいろな課題や改善点が世の中には転がっています。市民活動は自分のすぐそばにあるもの。1歩を踏み出すことで、自分が、周りが、小平が変わっていくと思っています」

 長瀬「ケネディがね『国があなたに何ができるかじゃなくて、あなたが国に何ができるか』と言ったんですね。それを1人の人間として自分に問いかけた時、何か行動することがあるか。そういうことかな、と」

 福井「結局、外から見ていても何もわからないんですよね。楽しいので、思い切って中に入ってみてください。人との繋がりが広がっていくということは、いいものですよ」

「会社」から「地域」に向かう意識。
そして見えてきた地域の「裏側」。

 ――皆さんは、同センターの業務を務める一方で各々の市民活動グループに所属しているということですが、市民活動を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

 福井「私はね、5年前まで会社人間だったんですよ。市役所がどこだとか、公民館がどこだとか、40年も小平に住んでいながら、まったく知らなかった。それがある日ですね、家に市役所の方が来て、『民生委員をやりませんか』と言うわけです。まあ、うまく丸めこまれて3年弱やったんですけど(笑)」

 ――会社人間だった福井さんがリタイア後、地域に眼を向けた。第2の人生に市民活動を選ばれた理由はなんだったんでしょうか? さらに言えば、民生委員は無給ですよね。

 福井「現役の時になんで地域のことを見なかったかというと、これは私だけの問題じゃないと思うんですけどね。日本の経済が発展していく中で、地域のことに関わる時間と心の余裕がなくなってしまったんじゃないかと思っているんです。そういう環境が当たり前になってしまったんじゃないかな、と。
 また、それまでは会社が社会生活の全て=コミュニティだったわけです。しかし、リタイアしたら、それが急に遠のいてしまった。どこに行くわけでもないから、生活圏は次第に地元になっていきました」

 ――しかし、生活環境が変わったことによって、見えるものが変わってきたと。

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廃校を利用した同センター

 福井「そうですね。それに、毎日家の中でボーっとしてるのかって話になると、なんかしたいなってなるんですよね。単純に物足りない。ちょうどその時に民生委員の話がきたので……。
 まあ、世のため人のためとまではいかないんですけど、曲がりなりにもずっと住んでいた地域です。第2の人生っていうのを考えた時に、この町をより良くしたいとか、何か役に立ちたいっていう気持ちになったんですよね」

 ――民生委員としての活動で見えてきたものは何かありましたか?

 福井「そうですね、地域の『裏側』というか……」

 ――裏側というのは?

 福井「現在の日本は高齢社会と言われていますが、実際に孤独なご老人を何人も見てきました。ほかにも、近所に顔見知りもいなくて家に閉じこもりっぱなしの人とかね。今の時代ね、近所に住んでいながら顔と名前が一致しないなんて、珍しいことじゃないんですよ。地域の関わりが弱いんです。市民活動などをしていなければ、外に出る機会も減る一方でなおさら。でも、自分の周りにそういう人がいなければ、問題に気づくこともないんじゃないかな。
 私はね、福祉とかボランティアとか、そういうものだけが市民活動とは思いません。今言ったような孤独な人たちがわいわい、がやがやと一緒にできる場所を提供すること自体に価値があると思っています。そういった市民活動が活発になれば、人と町が変わって元気になりますからね」

 馬場「私はお買いものに行くと、活動を通じて知り合った人たちとよく会うんですね。その度に立ち話をしちゃったり(笑)。でも、こういうことって、すごく幸せだと思うんですよね。外に行くだけでも楽しみがあるというか」

6年の準備活動を経て―。

 ――「小平市民活動ネットワーク」が同センターの指定管理者に選ばれたのには、どのような経緯があったのでしょうか?

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壁には、各団体のチラシなどが貼られている

 長瀬「小平市は2003年の時点で同センターをつくるという構想を持っていました。同年の5月頃には検討委員会の市民公募が行われて、8月までにどのような施設にしようかという話し合いがあったんです。
 それで、9月にはセンターの機能やあり方についての提言書を市に出したんですが、出しっぱなしで待っているばかりでは心もとない。そこで、センターの実現をフォローする目的で『市民活動支援センターを考える会』を立ち上げたんです。それが母体になっています」

 ――現在は団体を法人格(NPO法人)にして活動をしています。何か理由があったのでしょうか?

 長瀬「将来、指定管理者としてやっていくのであれば、私的な集まりの任意団体ではなくて法人団体でなければダメだろう、という話になりました。それで、03年11月の終わりに有志で集まって、現在の団体としてスタートしました。」

 ――同センターは04年に『小平市市民活動支援センター準備室』として仮オープンしています。本オープンまでの6年間、どのような活動をしてきたのでしょうか?

 長瀬「市民活動情報を扱った広報紙を市内の公民館や地域センターに置いて情報提供をしたり、NPOに関するセミナーやイベントを行っていました。まずは出来ることからやっていこうと。
 市民活動のハンドブックを出したり、仕事を市から受託するなどしてきました。そういった活動が評価されたというのもあると思うんですけど、昨年末の市議会で正式に指定管理者として議決承認され、今に至ります」

難航した人員確保、経理業務。
ここからが本当のスタート。

 ――6年というのは、決して短い時間ではなかったと思います。正式にオープンが決まった時、どのようなお気持ちでしたか?

 長瀬「まずは、ほっとしましたね」

 福井「『準備室』としての期間が長かったでしょう。実は、07年に発表された『小平市行財政再構築プラン』というものがターニングポイントになったんです」

 ――行財政の再構築を目的とした改革プランですね。07年度から9年間の行財政運営の方針を定めたもので、100項目に及ぶ改善点が挙げられています。

 福井「その中に『市民活動の場所と場の提供』として、『準備室』を10年度までに本オープンさせようということが書かれたんです」

 馬場「05年、 小林正則市長に変わったということも大きいですよね」

 福井「そう。市民活動を活性化しようという考えの人だから。そこにうまく、再構築プランが重なった」

 ――同プランの方針の1つに「地域協働の推進」が掲げられています。行政と、市民を始めとするNPOグループや民間業者などの連携により、公共サービスを効率的に提供する体制を整えるものですね。

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同センターの外観

 馬場「NPOと市の連携に関しては、当センターがまさにそうです。先ほどの話にでた本オープンまでの活動の中には、市からの業務委託によるボランティア・市民活動情報紙『おむすび』の制作業務もありました。市民活動団体のイベントやニュースを紹介するもので、年に2回発行しているものです」

 福井「そういった業務委託の中には、私たち市民スタッフの育成、という意味合いもあったと思うんです。NPOになったばかりの団体に本当に任せられるのか、という判断材料だったのでは、と」

 馬場「でも、その数年のうちにメンバーも年を重ねてしまいました。リタイア世代から始めた人間が多いものですから……、このまま本当に施設を運営することができるのか、やはり難しいのではと、真剣に悩む時期があったんですね。それで、08年に内部で検討会を開いたんです」

 ――懸念されていた点とは、具体的にどのようなことだったんでしょうか?

 馬場「私たちの年齢もそうですが、同じくらい頭を悩ませたのがセンターに常駐する職員の問題です。家庭の生活や、所属する各団体の活動がある中で、私たちだけでやっていけるのかと。それが無理なら、外部から人員を確保しなければいけません」

 長瀬「就業規則や雇用契約も1からつくることになりますからね」

 福井「加えて、経理や税務についてもやっていく。『市民活動ネットワーク』に参加した人の層がもっと厚くて、それらの業務をできる人を周りから巻き込めれば良かったんですけどね。かといって、そういったプロを雇う予算もありませんから」

 長瀬「それに加えて市民活動を支える場所ですから、活動に理解がある人でないとダメなんです。結局、仲間の紹介でいい人と巡り合えたので良かったです。本当、人の繋がりには感謝ですね」

 馬場「そういう苦労が今後も出てくるだろうけど、熱い思いでここまでやってきたんだから、覚悟を決めてとことんやっていこう、と皆で話しました。  私たちが意図してきた施設を、市民の手で提供できる。うれしい反面、想像以上に大変なことですけど、思いっきりやりたいです」

 長瀬「長い準備期間を終えて、やっとスタートラインに立った状態。どうぞ期待していてください」


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