百五、東洋医学の人体観

医針伝心

土居治療院 土居望院長コラム

 

旧約聖書によると、人間(人体)は神に似せて作られたという。

この神を、広大な宇宙の法則や秩序という意味で理解すれば、確かに人体は神によく似ているのだと思う。

東洋医学でいう脈診などは、脈だけで体全体を観る技法であるが、現代医学的に見れば何の根拠も無い迷信と映るはずである。この脈診を知るためには、東洋医学の全体性という言葉を理解する必要があるだろう。

この全体とは、人体を部分部分に細かく分割しても、その部分は常に全体を内包していると考える。つまり、脈という部分が体全体を投影するのである。この辺が東洋医学の理解し難いところかもしれない。

 

自然界の構造が教えてくれるもの

そこで、人体=宇宙をイメージして、天気図の台風を見ていただきたい。台風の構造は広大な銀河系宇宙と同じ比率で構成されている。もっと身近な砂浜にある貝殻の螺旋模様も、あるいは植物が枝分かれして成長する姿も同じであるという。

言葉を換えれば、東洋思想の(天人合一)が同じだ。

自然の中に人がいて人の中に自然がある。自然界と人体は別々なものではなく、私たち一人一人の中に、大自然が丸ごと内在しているのである。

これは単なる空想ではない。一人一人の命が如何に価値あり尊いものであるか、世界がこのように構成されているのだから。

プロフィール

土居 望

「土居治療院」院長。開業37年で、治療した患者はのべ20万人以上。鍼灸師卒後臨床研修指導員。ツボや鍼灸への研究を続けており、独自の治療観を持つ。著書に『鍼灸の奥義、あなたもツボ治療の達人になれる』(青萌堂)、『東洋医学ノート』(法研)がある。TEL042-475-9375。東久留米市東本町13-2。

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