百十六、はりとツボと大自然

2022年4月19日

医針伝心

土居治療院 土居望院長コラム

虚と実に描かれる鍼治療のツボはどのくらいの大きさであろうか。

40年ほど前は直径1センチぐらいに感じていた。それがだんだん小さく感じられるようになり、2ミリから1ミリくらいになった。

経験を積むにつれてツボは小さく感じられ、さらにツボの中に広がりが現れてきた。すなわちツボの中に新たなツボが現れるようになった。

このような感覚的体感は、おそらく感覚が鋭くなったためと思っていたのだが、どうもそれだけではないようだ。ツボの大きさは1ミリを境にして今度はだんだん大きくなってきたのである。

その理由は、1ミリほどに感じた実のツボのすぐ脇に、虚のツボの存在があると気づいたからである。

東洋医学では虚と実は相反する性質と考える。陰陽、虚実、補瀉の概念もそこから生まれたのであるが、実は一つのツボの中に内在している。鍼治療のツボとは台風の螺旋のように虚と実を持っていることに気付いた。

このツボの感覚的体感が実は数学で知られるフィボナッチ数列の螺旋を描いていると知ったのは数年後のことであった。人体そして自然界は一定の規則性を持っている。

フィボナッチ数列とは0、1、1、2、3、5、8、13、21……と続く数列であるが、実際の台風もこの数列の比率で生まれてくる。植物の生長もこの数列に従い、人体でも気管支の分岐、肝臓の血管の分岐なども同じである。花びらの枚数も、多くは数列の数と一致する。

それは、大自然そのものが螺旋に成長しているということなのであろう。

プロフィール

土居 望

「土居治療院」院長。開業37年で、治療した患者はのべ20万人以上。鍼灸師卒後臨床研修指導員。ツボや鍼灸への研究を続けており、独自の治療観を持つ。著書に『鍼灸の奥義、あなたもツボ治療の達人になれる』(青萌堂)、『東洋医学ノート』(法研)がある。TEL042-475-9375。東久留米市東本町13-2。

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