百十二、東洋医学史の謎

医針伝心

土居治療院 土居望院長コラム

 

東洋医学が中国でまとめられ体系化されたのが約2千年前。この時代に、黄帝内径、神農本草経、傷寒雑病論、といった三大書物が相次いで著されている。

よく知られている葛根湯などの薬も、鍼灸で使うツボや経絡も、この時代に体系化されたことになる。

しかし、それは本当であろうか? 

中国最古の医書・黄帝内径の異法方宜論には、導引按蹻(気功、按摩)以外は国外からの療術であることを示唆しているからである。

また、釈迦と同時代のインドの名医キバは、生まれながらに鍼と薬嚢を持っていたと伝えられている。

インド説、中国説など、諸説ある中で、当時の私は、東洋医学は仏教とともにインドから伝えられ、インド医学に古代中国の医学と道教思想(陰陽五行)が一つになり、優れた治療効果と多くの迷信が混在する東洋(中国)医学が体系化されたと考えていた。

ところが、1991年東洋医学における大発見が起こることになる。イタリアとオーストリアの国境にある氷河の中から見つかった推定5300年前の男性(アイスマン)である。

画像調査によるとこのアイスマン、腰椎すべり症を患っていて、腰痛持ちであったと考えられている。それは、腰や脚に刺青のような治療痕があり、それが現代の腰痛治療のツボの位置と完全に一致していていることである。

中国で体系化される3000年も前に現代のツボ治療がヨーロッパにあったこと、治療の痕跡から見てかなり高度なレベルのツボ治療であったことが推測できるのである。 

プロフィール

土居 望

「土居治療院」院長。開業37年で、治療した患者はのべ20万人以上。鍼灸師卒後臨床研修指導員。ツボや鍼灸への研究を続けており、独自の治療観を持つ。著書に『鍼灸の奥義、あなたもツボ治療の達人になれる』(青萌堂)、『東洋医学ノート』(法研)がある。TEL042-475-9375。東久留米市東本町13-2。

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