百八、東洋医学の人体観 4(陰陽五行)

医針伝心

土居治療院 土居望院長コラム

 

ツボは専門的に経穴といい、経穴を繋ぐ一連のルートが経絡である。

この経絡は陰陽五行思想から体系づけられたものだ。つまり、占い、八卦、高島易断などがそれである。

八白土星、とか、九紫火星とかも、そのまま人体の経絡に当てはめることができる。このような迷信としか思えない思想を病気の治療に応用することなどできるはずもないと考えていた。

ところが実際の治療において、解剖学や生理学など科学的に理論立てて治療するよりも、古来から用いられた八卦や経絡を治療に用いたほうが治療効果が明らかに高いのである。

陰陽五行説、そこから生まれた経絡や様々な東洋の治療思想も、そのまま真実ではないとしても、それに近いシステムが人体には存在している。そのことについて私なりにまとめた書籍が、昨年出版した『鍼灸の奥義 あなたもツボ治療の達人になれる』(青萠堂)である。

広大な太陽系宇宙の構造は、ミクロの世界で原子核の周りを電子が動くのと近似であるという。夏荒れる台風は銀河系宇宙と同じ比率で構成されているという。人間も自然の中にいるのだから、目には見えなくても同じ自然界のシステムが内在されている。

40年鍼灸を続け64歳になった今でも、私は夢を持っている。陰陽五行思想を超えた全く新しいツボ治療システムを作り上げることである。誰もが簡単に不思議な効果をもたらす最高の東洋医療が出来る日が来るだろう。
人体に現れる一点のツボから私の知り得たことは、自然は私の想像を超えて遥に広大であり、そして美しかった。

プロフィール

土居 望

「土居治療院」院長。開業37年で、治療した患者はのべ20万人以上。鍼灸師卒後臨床研修指導員。ツボや鍼灸への研究を続けており、独自の治療観を持つ。著書に『鍼灸の奥義、あなたもツボ治療の達人になれる』(青萌堂)、『東洋医学ノート』(法研)がある。TEL042-475-9375。東久留米市東本町13-2。

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