北多摩のコロナ感染者数の実態と検証 意外に多い市は…

なぜ西東京市の感染者数は多く、東村山市の感染者数は少ないのか―—。

北多摩エリアの地域メディア「タウン通信」では、1年を振り返る意味もあり、新型コロナウイルス感染症の地域の実情を改めて検証してみました。

タウン通信が「コロナ」発生以来、関心を持ってきたのは、「北多摩」という同じ地域でありながら、なぜ自治体間でコロナ感染(判明)者数に差が出るのか、という点です。

そこで今回は、「コロナ感染者の差が出るのはなぜか」をテーマに、各方面から検証してみました。

以下、そのレポートです。

(※以下、本来は感染判明者数と記載すべきところですが、感染者数で統一します)

 

最初に結論をいうと——

期待してお読みいただく方には申し訳ないので先に結論を書きますが、「なぜ隣接する自治体間で『コロナ』感染者数に差が出るのか」の答えは出ていません。

当サイトでは、北多摩エリアの中核病院である公立昭和病院の上西紀夫院長や、医師でもある西東京市の丸山浩一市長らに直接その問いをぶつけてもいますが、誰もが口を揃えるのは「この地域で西東京市の感染者数が多いのは把握しているが、なぜ多いのか理由は分からない」というものでした。

従ってここから先のレポートは、実情の整理と、当サイトがどのように検証したかの報告となります。

地域の皆さんに、何らかのヒントになればと願いながら記します。

 

12月20日現在の、1万人あたりの感染者数を見ると

まずは現状の整理からです。

2020年12月20日現在のデータですが、北多摩5市の延べ感染者数は以下のようになっています。(人口順に記載。以下同)

延べ感染者数

  • 西東京市  498人
  • 小平市   288人
  • 東村山市  196人
  • 東久留米市 161人
  • 清瀬市   131人

西東京市の感染者数の多さが突出していますが、冷静に考えると、このエリアでは西東京市だけが20万人都市で総人口が多いわけですから、「コロナ」感染者数が多いのも当然にも思えます。

というわけで、人口比で見ることにしました。

1万人あたりの感染者数として整理すると、以下のようになります。

1万人あたりの感染者数

  • 西東京市  24人
  • 小平市   15人
  • 東村山市  13人
  • 東久留米市 14人
  • 清瀬市   17人

上記は、人口1万人あたりに換算しているため、おおよその数としてご参照ください。

いずれにせよ、改めてこう見ると、西東京市の感染者数の多さが確認されます。

東村山市と比べると、ほぼ2倍の多さとなっており、その数は突出しています。

ここまで差が出ると、やはり何らかの理由があるはずと思えてきます。

 

スタート時点から比較すると

地域の情報をずっと追ってこられた方には周知のことでしょうが、実は西東京市は、「コロナ」が始まった春先から一貫して感染者数が近隣市よりも多いという状況がありました。

緊急事態宣言の最中の5月8日時点で比較すると、延べ感染者数および1万人あたり感染者数は以下のようになっていました。

5月8日時点の延べ感染者数/1万人あたり感染者数

  • 西東京市  46人 / 2人
  • 小平市   18人 / 1人
  • 東村山市  13人 / 1人
  • 東久留米市 14人 / 1人
  • 清瀬市   15人 / 2人

総数でこそ西東京市がダントツに多いですが、こう見ると、意外にも清瀬市の多さが気になります。

その視点で改めて現在の値を見ると、清瀬市は1万人あたり感染者数が17人と比較的多いことが確認されます。

ということは、西東京市と清瀬市に共通する事項を見つけることで、感染者数の多い理由を見つけることができるかもしれません。

 

春に語られた「外国人の多さ」「駅の多さ」を検証

そこで、個別のデータにあたることにしました。

まず着目したのは、外国人の比率です。

春先に西東京市で密かに語られたのは、「西東京市の感染者数が多いのは、外国人居住者が多いからだ」というものでした。

西東京市には5000人以上の外国人が暮らしていますが、そのほぼ半数は中国人です。

言うまでもなく今回のウイルスは中国発のものであり、春節も重なって、加速度的に世界で広がったとも言われています。

というわけで、清瀬市の外国人居住者についてですが、清瀬市居住の外国人は市人口の約1.8%しかおらず、これは東村山市の約2%をも下回っています(ちなみに西東京市は約2.4%)。

外国人の多さがスタート時点でのコロナ感染者数に影響したというのなら、清瀬市よりも東村山市のほうが感染者数は多くなっているはずなので、この推論は否定されることになります。

次に、春先の西東京市で語られたのは「駅の多さ」でした。西東京市には西武鉄道の5駅があり、人の往来が盛んなため、コロナが一気に広まったとする説です。

その面は多いに可能性があるものの、そうなると、市域に清瀬駅1つしかない清瀬市の多さを説明できなくなります。

 

昼夜間人口も念のため…

人々の移動を見るのなら、北多摩エリアの場合、昼夜間人口もチェックしなければなりません。

夜間を100としたときに、地域にいる昼間の人口はどのくらいか―—つまりは、市外に通勤・通学している人がどのくらいいるか―—を測る指標ですが、これを比較すると、以下のようになります。

昼夜間人口(2015年データ)

  • 西東京市  81.0
  • 小平市   87.7
  • 東村山市  82.7
  • 東久留米市 81.2
  • 清瀬市   84.3

少しデータが古いことと、外出自粛、学校の臨時休校、リモートワークの拡大といった社会状況を考えると、あまり検証に意味はないようにも思いますが、このデータを参照するのなら、西東京市の感染者増は納得のいくものとはなります。

ただし、ここでもやはり、東村山市の感染者が少ないことが説明できなくなります。

 

人口密度はどうか

ならば、人口密度を見たらどうでしょうか?

「コロナ」拡散を抑えるためにしきりと叫ばれた“三密”。人口密度の「密」をここで持ち出すのはちょっと短絡的すぎますが、人の交流度合いの目安にはなるかもしれません。

人口密度

  • 西東京市  13,145人/㎢
  • 小平市   9,599人/㎢
  • 東村山市  8,789人/㎢
  • 東久留米市 9,043人/㎢
  • 清瀬市   7,368人/㎢

 

ここでもまた西東京市の感染者増を納得させるデータが出ましたが、清瀬市にはまったく当てはまっていません。

ちなみに、1世帯あたりの人口も算出してみましたが、微差はあるものの、どの自治体も1世帯あたり2.1人ほどで暮らしており、ここに理由を見いだすことはできませんでした。

 

「若者」の差はどうか

ほとんどお手上げ状態ですが、一つヒントとしてピンときたのが、若者の人数です。

西東京市が11月20日に開いた市長記者会見では、「コロナ」感染者の状況が発表され、その中で、「10月以降、20代の感染者が増えている」と指摘されました。

ちなみにこのとき発表されたのは、10月5日から11月15日までの間で93人の感染者が確認され、そのうち、3割にあたる21人が20代男性だった、というものでした。

そこで20代の比率を出してみました。

市人口における若者の比率

  • 西東京市  10.5%
  • 小平市   11.7%
  • 東村山市  10.0%
  • 東久留米市 9.5%
  • 清瀬市   10.0%

 

最も20代の比率が高いのは小平市で、低いのは東久留米市。この両市の「コロナ」感染者数はほぼ同じように推移しており、ここに相関関係は見いだせそうにありません。

ちなみに、11月4日の時点では、1万人あたりの感染者数は小平市=8人、東久留米市=7人、清瀬市=7人でした。

この時点ではむしろ少ないほうだった清瀬市でその後の感染者が急増していることを考えると、20代が多い=感染者増につながる、とは単純にはいえなくなります。

 

清瀬=病院?

上記のデータを並べると、西東京市の感染者が増えるのには相応の理由がありそうなものの、なぜ清瀬市の感染者が多いのかの理由が見えません。

そこで清瀬市の特性を考えたところ、浮上してくるのは「清瀬=病院の町」という側面でした。

結核療養の地としての歴史を持つ清瀬市には、今回、「コロナ」治療で最前線に立つ東京病院をはじめ、さまざまな病院があります。

病院の多さは、入院時の検査などを含め、PCR検査の機会が多いことを意味します。「コロナ」の場合は症状がなくてもPCR検査によって感染が判明するケースもあるため、病院が多い、病院が身近、という地域では、感染者が増える傾向があるともいえます。

が、この理屈を持ち込むと、地域の感染症対策の中核を担う公立昭和病院がある小平市でなぜ感染者が増えないかを説明できなくなります。

 

感染者抑制の陰に志村けん?

というわけで、あれこれ見たものの、結局それらしい結論は出せず。

何とも申し訳ない結果となりました。

ちなみに、北多摩で感染者数の多い西東京市の近隣市を見ると、1万人あたり感染者数では以下のようになっていました。

西東京市近隣市の1万人あたりの感染者数

  • 小金井市  19人
  • 練馬区   29人
  • 三鷹市   23人
  • 武蔵野市  25人
  • 新座市   14人

 

埼玉県新座市を除けば、やはり西東京市同レベルの感染者数があり、感覚的なことだけでいえば、都心との近さ(往来)が、感染者増につながっているようには見られます。

ともあれ、こうして整理してみると、意外な発見もありました。

東村山市の感染者数が、春以来、一貫して北多摩エリアの中では低水準で推移していることです。

東村山市に隣接する埼玉県所沢市では、1万人あたり18人ほどの感染者数(のべ627人)が出ており、東村山市の少なさは目を引きます。

東村山といえば、ぱっと想起されるのは、3月に「コロナ」による肺炎で他界した志村けんさんの存在です。

あるいは、志村さんを身近に感じる市民だからこそ、より厳重に「コロナ」を警戒しているということなのでしょうか……。

今後の推移次第ですが、東村山市の取り組みの中に、「コロナ」を抑える何らかのヒントが見つかるのかもしれません。

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