九十六、はりきゅうが効く訳

医針伝心

土居治療院 土居望院長コラム

 

原因のわからない肩こりや腰痛、足が地に付かないような全身の不安定感、不定愁訴の症状は実にさまざまです。

現代医療はなんでも薬で治そうとする。でも、薬で良くなったという人はほとんどいないのではないでしょうか。

それは、不定愁訴あるいは自律神経失調症といわれる症状は、ストレスが原因となる脳の疲労だからです。

 

薬は脳の中にほとんど入れない

仮によく効く薬が開発されたとしても、その薬を効かせることが出来ない。なぜならば、脳の入り口にはブラッド・ブレーン・バリア(血液脳関門)といわれるバリアがあり、薬は脳の中にほとんど入れないからです。どんなによく効く薬剤を血管内に入れても、このバリアを通過しないと作用しない。ここが問題です。

一方、不定愁訴、自律神経失調といわれ、さまざまな症状に苦しんだが、何千年もの昔から続く鍼灸で良くなったという人も大勢います。それはなぜでしょうか。

 

鍼灸の作用は血液脳関門をくぐり抜ける

鍼灸の作用は脳内にある視床下部に働き、肩こりなどを癒やすことはよく知られています。つまり、血液脳関門というバリアを巧みにくぐり抜け、脳のストレスから生じた疲れを癒やす効果がその中心的作用なのです。

今、あなたがどこかのはりきゅう院で治療を受けているならば、数回の治療で終わるのではなく、一定の間隔で30回くらいの治療を受けてみてください。

体の部分的症状の改善に留まらず、恒常性維持機能が賦活され、活力ある体を取り戻せるからです。

 

プロフィール

土居 望

「土居治療院」院長。開業37年で、治療した患者はのべ20万人以上。鍼灸師卒後臨床研修指導員。ツボや鍼灸への研究を続けており、独自の治療観を持つ。著書に『鍼灸の奥義、あなたもツボ治療の達人になれる』(青萌堂)、『東洋医学ノート』(法研)がある。TEL042-475-9375。東久留米市東本町13-2。

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