七十七、東洋医学の謎

医針伝心

土居治療院 土居望院長コラム

 

東洋思想といえば、陰陽や五行といった現代人には迷信としか思えない不思議な理論がつづく。ところがこれらを図式化すると数学のフラクタル図形が現れてくる。

フラクタルとは部分と全体が同じ構造をもつ性質で、自然界の中にごく普通に存在している。山や樹木もフラクタルだし、人体でも肺や血管の分岐、腸の内壁なども同様である。

 

解剖学者によって主張が異なる理由

解剖学者は腸の内壁の表面積を広げるとテニスコート1面分もあるという。ところが、別の解剖学者はテニスコート5面はあるという。つまり分からない。計測の精度を上げていくと表面積も限りなく広がるからだ。

私たちの中に大自然がまるごと内在しているという東洋医学の「天人合一」の思想もフラクタルな世界観である。このフラクタルに不規則性が加わるとカオスになる。

 

ツボは生き物

病気の治療に用いる鍼灸のツボについて考えてみよう。

健康な人にツボは無い。体に不規則な歪みが加わるとツボが現れてくる。

ツボとツボの配列が経絡だが、体験からいえば、ツボも経絡も一つだ。つまり部分(ツボ)は全体(経絡)の構造をもっている。そしてその人の病気の状態や性質によってさまざまなカタチに変化して現れる。

そのツボの変化から病気を見極めることが私の仕事だ。

東洋医学では正経絡の数は12であり、ツボの数は365。これは、ツボの性質を無限分の一とし一年の月日になぞえられているからだ。 

 

プロフィール

土居 望

「土居治療院」院長。開業37年で、治療した患者はのべ20万人以上。鍼灸師卒後臨床研修指導員。ツボや鍼灸への研究を続けており、独自の治療観を持つ。著書に『鍼灸の奥義、あなたもツボ治療の達人になれる』(青萌堂)、『東洋医学ノート』(法研)がある。TEL042-475-9375。東久留米市東本町13-2。

 

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