百七、東洋医学の人体観3 (ツボの人体図)

2020年9月15日

医針伝心

土居治療院 土居望院長コラム

 

何故、脈だけを観て全体の体調がわかるのか? それは、東洋医学が全体的なフラクタルな医学だから、ということになる。

しかしながら、このような思想とはどこまでも思想であって実際に病気を治すこととは別と考えなければならない。

鍼灸師になって10年以上ほぼ毎日勉強しても、私には東洋医学が迷信の集積のようにしか思えなかった。ずーと以前、今から半世紀近く前、私がまだ奨励会で修行していた頃、金子金五郎先生(大正から昭和にかけて活躍した理論派の名棋士でのちに僧籍に入る)に、先を読むという思考は、景色を見るように、先の局面を映像のように映す。と教えられたが、頭の悪い私にはよく理解出来なかった。

ところが、奨励会をやめて、鍼灸師になり、10年以上悩み、まったく違う鍼灸治療の世界で、金子先生の言葉が鮮明に蘇り体感できる日が訪れたのである。

それはあたかも目の前のコップを見るように、人体のツボが躍動して動き始めた。それも、一人一人の体の状態によってまったく異なる位置に現れたりする。あるいは、一つの同じツボが複数の位置にも現れるといった現象も起こり得る。

今も鍼灸学校ではツボを一定の位置に定めたものと教えている。だから、鍼灸師の7割はツボの人体図を信じていない。せいぜい治療の説明に体裁よく使うぐらいだろう。人体図の本当の意味は、ここから思考して治療の構想をまとめよ、と教えているのである。 

 

プロフィール

土居 望

「土居治療院」院長。開業37年で、治療した患者はのべ20万人以上。鍼灸師卒後臨床研修指導員。ツボや鍼灸への研究を続けており、独自の治療観を持つ。著書に『鍼灸の奥義、あなたもツボ治療の達人になれる』(青萌堂)、『東洋医学ノート』(法研)がある。TEL042-475-9375。東久留米市東本町13-2。

土居治療院

ツボ・東洋医学を探求するベテラン施術者が率いる治療院 東久留米駅から徒歩約4分の「土居治療院」は、鍼灸師卒後臨床研修指導員でもあるベテラン治療師のいる治療院です。 土居望院長は開業35年超で延べ20万 ...

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