医師等の関わりと在宅医療のジレンマ

在宅診療NOW

まつばらホームクリニック 松原清二院長のコラム

 

前回は心臓リハビリ研究会で医師、看護師、理学療法士、栄養士などからさまざまな質問があったことを書きました。

栄養に関しては、塩分を抑えめにし、高タンパク、高カロリーの食事を提案するなどの在宅医療での介入はどうだったのか。また、心不全で呼吸困難があるならば、呼吸筋の使い方や呼吸の仕方などの呼吸リハビリはどうだったのか――などの質問がありました。

ただ、当院が事例紹介した患者さんの場合は、ご自宅ではそのような介入は希望されず、自分の好きな物を食べ、自分の限られた余生を自宅で母親と過ごしたいという希望でしたので、各プロフェッショナルからはジレンマが生じる状況だったかもしれません。
また病気が進行し、息が苦しくなり、心臓に対する薬物治療(強心剤や利尿剤など)や在宅酸素療法、症状緩和を目的とした麻薬の使用でも症状がなかなか改善しなくなると、医師には、特に家族が間近にいない時の患者さんを思い、家族に対して心理的な焦燥感を持つことも出てきます。さらに、重症になればなるほど処置に時間がかかるため、限られた時間で地域を回らなければならない訪問看護では、医療面に限りが出てしまいます。

とはいえ、患者さんに「とにかく家が良い」という気持ちがある以上、こういったパーソンドケアに医療者がどこまで関わっていくかは、各医療機関に委ねられています。  そこで次回は、心不全における医療介護制度での問題点、そして当院ではどのように工夫をし、どのように治療に関わっているのか、当院のチームのあり方についてご紹介いたします。

プロフィール

松原 清二

在宅療養支援診療所「まつばらホームクリニック」院長。東京医科大学卒業後、複数の病院勤務を経て、2015年5月に同院開院。西東京市を中心に、練馬区・東久留米市・武蔵野市・新座市などの一部地域を訪問診療で回っている。総合内科専門医、循環器内科医。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定医、認知症専門医、認知症サポート医。公式ホームページ:まつばらホームクリニック

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