薬の内服の工夫

在宅診療NOW

まつばらホームクリニック 松原清二院長のコラム

 

最近、脳出血の既往のある発語が難しい患者さんに対して、血圧管理を早めに対応しなければならないケースがありました。早朝時の血圧が高く、脳出血の再発が懸念されたためです。

ご主人は大変マメな方で、患者さんである奥さんをよく看ていて、「よく眠れていないからじゃないかなぁ?」と話をされていたので、睡眠薬を導入したところ、充分な睡眠が得られ、速やかに血圧が下がりました。

 

服薬を拒否する患者さん

ところが安心したのはつかの間で、今度は寝る前に降圧剤を飲むことをかたくなに拒否されるようになりました。

ご本人に聞くと、「飲みたくないから」の一点張りです。

血圧は内服薬をやめてから、ドンドン高くなっていきました。

そこで、以前飲んでいた薬を飲んだ場合に患者さんはどうなるのか、また、薬を飲んでからどんな感じになってしまうのかなどを、私と患者さんでじっくり腰を据えてお話しました。

すると、どうも薬が喉に引っかかって仕方がないとのお話をしてくださいました。

 

薬を替えてみると…

そこで内服薬をOD錠(口腔内崩壊錠)という、口の中で吸収される薬剤に替えたところ、患者さんの内服拒否はなくなり、血圧も以前のような安定した数値に戻りました。

患者さんが薬を飲みたくないと話した場合、そこにはどんな背景があるのかを探っていき、患者さんが受け入れられる投薬に切り替えていく必要があると、改めて考えさせられました。

プロフィール

松原 清二

在宅療養支援診療所「まつばらホームクリニック」院長。東京医科大学卒業後、複数の病院勤務を経て、2015年5月に同院開院。西東京市を中心に、練馬区・東久留米市・武蔵野市・新座市などの一部地域を訪問診療で回っている。総合内科専門医、循環器内科医。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定医、認知症専門医、認知症サポート医。公式ホームページ:まつばらホームクリニック

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