緑内障の治療について

街かど診療室

保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム

 

緑内障は、眼科診療における慢性疾患として継続的な診察と治療が必要です。

緑内障を疑われたら、現在はまず診察と画像による診断を試みます。

目の他の病気を除外したうえで、緑内障がさらに強く疑われれば視野検査を行い、画像検査と視野検査に矛盾がない状況で異常所見を認めた際に初めて緑内障と診断します。

そのうえで、今後の治療方針を患者さんに説明します。

 

眼圧を下げる

端的にいうと、緑内障とは時間をかけて視野が欠けていく病気であり、治療は唯一、眼圧を下げることです。

まずはその患者さんの目に合う点眼薬を選定します。

その効果で眼圧がある程度下がると7~8割の患者さんの視野欠損の速度は緩徐~停止となり、継続的な診察で効果を確認していきます。

視野欠損の進行が止まらない場合は、さらに眼圧を下げるべく点眼追加となります。

 

点眼薬を組み合わせる

現在、大きく分類すると8種類の緑内障点眼薬があり、それらはさらに細かく分かれていて、それらの組み合わせによって眼圧の低下を維持します。

多くの方が点眼のみで治療できる一方、点眼では十分な眼圧低下ができない、点眼自体にアレルギーがある等で視野欠損が進む場合は、手術療法が選択されます。

 

手術について

手術療法は、ここ10年でいろいろな新しい方法が考案され、先日の日本緑内障学会で多くの治療成績が発表されています。

いずれの手術も、いかに眼圧を長期間下げられるか、さらにはより低侵襲であることを目標としています。

緑内障の治療とは、あらゆる方法を用いて、生涯において眼圧を下げ視野を維持することです。

 

プロフィール

伊藤 勇

「保谷伊藤眼科」院長。大学病院で最先端の眼科医療に携わった後、同院を開業。白内障等の日帰り手術のほか、網膜硝子体疾患手術、緑内障手術、眼科一般診療などを幅広く行っている。公式ホームページ:http://www.itoganka.com/

2020/2/18

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2019/9/18

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2017/7/12

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