コミュニケーションとケア

在宅診療NOW

まつばらホームクリニック 松原清二院長のコラム

 

今回は、事務の阿南が担当します。

先日、「ユマニチュード」という、コミュニケーションを大切にしたケアについてお話を伺う機会がありました。ユマニチュードは、特に認知症の方に対するケアで注目され、テレビ番組などでも取り上げられています。

 

フランスで生まれた「ユマニチュード」

これはフランスで生まれたケア方法で、「見る、話す、触れる」といった人間ならではの包括的なコミュニケーションと、自立・自己の尊厳を実感できる「立つ」ことの援助を行うものです。認知機能の低下によって失われかけた尊厳を取り戻すことを促すとされています。

印象的だった事例として、普段はほとんど喋らず気難しい顔であらゆる介助を拒否する認知症の方の話がありました。

この方の担当スタッフさんはユマニチュードを学ぶ機会があり、普段の介助のあり方を見直されました。それまではほかの作業をしながら話しかけ、体に触れるときは手を押さえつけるときが多かったそうです。そのことに気づいたスタッフさんは、まず目を見て、これから何をするか話しかけ、反応を見てから介助をするように心がけたそうです。

すると、目を見て話すことで「まだ早いな」と気付けたり、ケアされる方も「自分の気持ちに気付いてもらえた」という安心感を持つのか、拒否することが減ったとのことでした。

 

より良い介護のヒントに

このように、ユマニチュードの技術を取り入れることで、認知症の方の不安を和らげることができ、その結果、ケアをするスタッフの負担も軽減されます。今後は専門職の間だけでなく自宅で介護をしていらっしゃるご家族にも学ぶ人が増えそうな予感がしています。

 

プロフィール

松原 清二

在宅療養支援診療所「まつばらホームクリニック」院長。東京医科大学卒業後、複数の病院勤務を経て、2015年5月に同院開院。西東京市を中心に、練馬区・東久留米市・武蔵野市・新座市などの一部地域を訪問診療で回っている。総合内科専門医、循環器内科医。日本循環器学会専門医、日本内科学会認定医、認知症専門医、認知症サポート医。公式ホームページ:まつばらホームクリニック

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