伝統の最先端を描きたい 東京手描き友禅作家 田邊 慶昴さん(西東京市在住)

田邊慶昴さんは、今年開かれたコンクール「染芸展」で「東京都知事賞」「東京山喜賞」を受賞した、手描き友禅の作家です。

これまで都心部を中心に展示を行ってきましたが、約15年住んでいる地元では初となる個展を明日20日から開きます。

(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)

作品を手にする田邊慶昴さん

 

子どもの頃から着物好き

田邊さんは、幼いころから着物が好きだったそうです。

初めて袖を通したのは、七五三で着た鹿の子絞りの赤い着物。5歳のときには「紺地に赤いアサガオの柄の着物が欲しい」と、祖母におねだりをしたといいます。

「着物を着ていると、みんながかわいい、かわいいと言ってくれるでしょう。それがうれしくって。なんでもない日にも、祖母に頼んで着物を着させてもらっていました」

高校卒業後は、広告業界を目指してデザイン系の専門学校へ進学しました。

手描き友禅との出会いは、在学中のこと。手描き友禅の作家に弟子入りした友人の夫に作品を見せてもらったところ、「私のほうが上手にできそう」と感じたといいます。

 

思い立ってすぐ、組合に「先生を紹介して!」

「着物が好きで、絵を描くのも好き。じゃあ、私も友禅作家になろうと思い立ちました。すぐに組合に電話して、『どなたか先生を紹介してください』って」  

弟子入り後は、床の雑巾がけや、兄弟子たちが使う墨をする毎日。初めて筆を握ったのは、半年後のことでした。

「やっと友禅を学べると思ったら、『丸と直線をきれいに描けるように練習してください。新聞紙が真っ黒になるまで』と。いつになったら色が塗れるの、と思いました」

その後、18年に及ぶ修業を経て、1998年に独立しました。

古典に縛られず、現代的なモチーフやデザインを取り入れて伝統的な手法で表現。作品の評価の高さは、数々の受賞歴が証明しています。

 

きゃりーぱみゅぱみゅからインスピレーション

地元の西武柳沢駅前のギャラリー「SPACE KOH」での個展開催は、自身の友禅教室の生徒らによるグループ展を開いたのが縁。

古典柄の「花喰鳥」を、西東京市出身のアーティスト・きゃりーぱみゅぱみゅからインスピレーションを得てデザインした帯(=写真)をはじめ、着物やバッグ、靴などを展示します。

「ファッションが好きな人はもちろん、絵やデザインが好きな人たちに気軽に来てもらえれば。小平高校出身なので、当時の友人や同級生にも見てもらえたらうれしい」

たなべ・けいこう
東京都出身。伝統工芸士。東京都工芸染色協同組合組合員。半衿(はんえり)は、西東京市の一店逸品にも選ばれています。

田邊さんの個展

「手描友禅YuMe物語展」が、20日から24日までギャラリー「SPACE KOH」(西東京市柳沢6の1の11)で開かれます。

午前11時から午後6時(24日は5時)まで。入場無料。

詳しくは同ギャラリー(042・468・8558)へ。

(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)

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